中国の携帯市場は日本と同様に大手3事業者(キャリア)の寡占状態にある。その3キャリアすべてのトップが交代するという11年ぶりの一大人事がこの8月にあった。しかも競合2社のトップが相互に入れ替わる、仰天ものの異動である。中国モバイル市場の今後を占う。

 2015年8月24日、中国移動(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)の中国キャリア(通信事業者)3社のトップが同時に入れ替わった。24日午前の中国共産党中央組織部の決定を受け、各社の北京本社(集団公司)と香港上場会社で正式発表があった。直前の19〜21日に3社の香港上場会社が2015年度上期(6月期)決算を発表したが、その時点では全くの想定外だった。中国移動のトップでさえ、上期決算発表時の会見では「交代の話はない」と語っていたとされる。

 状況が変わったのが21日金曜日の夕方。北京にある各社の集団公司の公式サイト上で即日正式発表となった。その傘下にある各社の香港の上場会社でも、証券取引所のルールにのっとった手続きが行われ、9月上旬までにこれらの人事が正式にアナウンスされる形で追認された。今回の人事は党の決定が最優先となる中国の国有企業独特の形と言える。

3社トップの総入れ替えは11年ぶり

 各社のトップ人事は次のようなものだ。中国移動は奚国華(けいこっか、Xi Guohua)董事長(会長)が定年に達したために引退。その後任の董事長に、監督官庁である工業・情報化部(工業和信息化部、MIIT)副部長を務める尚氷(しょうひょう、Shang Bing)氏が就任する。中国電信と中国聯通は、中国電信の王暁初(おうぎょうしょ、Wang Xiaochu)董事長が中国聯通の董事長へ、逆に中国聯通の常小兵(じょうしょうへい、Chang Xiaobing)董事長が中国電信の董事長へと、双方のトップが相互に入れ替わる(役職はいずれも集団公司のもの)。

 過去を振り返っても中国キャリア各社間の幹部入れ替えは珍しくはないが、3社トップが同時にすべて入れ替わるのは2004年以来となり、実に11年ぶりのことである。キャリア再編により3社体制となった2008年以降では、監督官庁とキャリアトップの入れ替えは2011年以来のことになる。