携帯電話の加入者数が約500万のミャンマー。この“最後のフロンティア”にKDDIと住友商事の日本企業連合が名乗りを上げた。ミャンマーの携帯電話市場を長らく独占してきたMPTと手を組む。新規参入が決まった外資系2社と三つ巴の顧客獲得競争が予想される。激動のミャンマー携帯市場を占う。

 KDDIと住友商事は2014年7月16日、ミャンマー情報通信省傘下の郵電公社(MPT)との間で同国における携帯電話事業に取り組むことを合意し、共同事業計画契約に調印したと発表した。日本企業2社が共同出資会社を設立し、MPTと携帯電話事業体を共同運営する。両社はこれから数年をかけて総額2000億円を投資する予定だ。

 ミャンマーの携帯電話事業はこれまでMPTの独占市場だった。それが2013年に外資系2社の新規参入が決まり、市場は開放された。KDDIと住友商事が支援するMPTは新規競合2社を迎え撃つ格好になる。

国営企業のMPTと手を組む

 今回の発表によると、KDDIと住友商事はシンガポールに合弁会社「KDDI SUMMIT GLOBAL SINGAPORE PTE. LTD.」(KSGS)を設置。同社がミャンマーに子会社のKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd. (KSGM) を設立した。このKSGMとMPTが、今回の共同事業に関わる事業協力や利益分配などを規定した契約を締結し、KDDIと住友商事はKSGMを通じて共同事業を展開する。

 なおKSGMの設置に当たり、シンガポールにあるKDDIの100%子会社が第三者割当増資を実施。これをKDDIと住友商事が引き受ける形で追加出資するという手はずになる。資本金は約5億米ドル(約513億2500万円)。出資比率はKDDIが50.1%、住友商事が49.9%。国営企業のMPTは合弁会社を設立できないため、このようなスキームとなったという。