韓国の通信事業者であるLG U+とSKテレコムがそれぞれスマートホームサービスの提供に乗り出した。目指すは家にまつわる不安を解消し、「安心・安全」を担保すること。サムスン電子など大手メーカーも独自にサービスを展開中だ。ただ韓国内ではまだスマートホームの認知率は約5割にとどまる。韓国キャリアの戦略を占う。

 IoT(Internet of Things)への関心が韓国でも高まりつつある。話題が集中しているのは「家」を中心としたスマートホーム分野である。ドアロックやガスの元栓、電力メーターなどを遠隔操作することで、家に関わる心配を減らし、省エネにも一役買うというものだ。

 韓国ではここ1〜2年、大規模な死傷事故がたびたび発生している。その原因は安全管理や確認の不十分さであり、「人災」を指摘する声が大きい。このような社会的な背景が、直接・間接的に消費者の安全意識を高めているようだ。

通信事業者が乗り出す

 韓国のスマートホームサービスはこれまでに、サムスン電子やLGエレクトロニクスといった大手家電メーカーが提供している。スマートフォンによる家電製品の電源オンオフなどの制御や、カメラ搭載機器を通じた宅内の状況確認の遠隔サービスなどがある。

 最近の動きとして見えてきたのが、通信事業者による新たなスマートホームサービスの提供である。

 LG U+は2015年7月、展開中のスマートホームサービス「IoT@home」向けに新たな機能を追加した。IoT@homeはカメラ搭載機器やガス遮断機などホームセキュリティとエネルギー管理の機能を提供するサービス。新たに追加したのは、ドアや窓の開閉センサー、ドアロック、サーモスタット、スイッチ、プラグなどの機器である。

 IoT@homeサービスの要となるのはドングルタイプの「IoT Hub」。無線通信プロトコルのZ-WaveでIoT対応の家電機器やキッチン機器、電気機器との接続が可能だ。韓国では初となる音声での制御機能も搭載している。カメラ搭載機器の「MomCA」はLGエレクトロニクスから、その他のハブやメーターなどは中小企業やベンチャー企業から供給を受けている。

 IoT@homeの料金プランは2種類ある。一つは月1万1000ウォン(約1200円)の「無制限プラン」。接続する機器の数によらず定額のプランだ。もう一つは台数に応じて利用料金を支払う「One by Oneプラン」。1台当たり月1000ウォン(約110円)から使える。いずれも月々の利用料を低く抑え、利用者の心理的なハードルを下げている(利用する機器は売り切り)。