韓国サムスン電子は2014年10月7日、2014年7~9月期の連結営業利益が4.1兆ウォン(約4100億円)と、過去最高だった前年同期に比べ60%減ったと発表した(関連記事:Samsung、2014年Q3業績はスマホ不振で6割減益の見込み)。4四半期連続で前年実績を下回り、利益総額はほぼ3年前の水準まで後退した。その要因は中核のスマートフォン事業の不振が加速したこと。それではサムスンを支えてきたスマートフォン市場は世界でどのような状況にあり、これからどうなるのだろうか。

スマートフォン出荷台数1位のサムスン

 2014年7月29日に調査会社IDCが発表した2014年第2四半期(4~6月)の全世界のスマートフォン出荷台数は、前年同期比23.1%増の2億9530万台だった。前四半期比では2.6%増で、IDCは2014年第3四半期(7~9月)には3億台を突破すると予測している。

 上位のシェアではトップはサムスンが独走しており、それに続くのがアップル。この2社で約37%のシェアを握っている。ただし上位5社のうちサムスンだけが、前年同期と比較して、出荷台数もシェアも減らしている(表1)。それでもまだサムスンの出荷台数は、2位のアップルの2倍以上である。

メーカー2014年Q2
出荷台数
2014年Q2
シェア
2013年Q2
出荷台数
2013年Q2
シェア
成長率
サムスン(韓国)7430万台25.2%7730万台32.3%-3.9%
アップル(米国)3510万台11.9%3120万台13.0%12.4%
Huawei(中国)2030万台6.9%1040万台4.3%95.1%
Lenovo(中国)1580万台5.4%1140万台4.7%38.7%
LG(韓国)1450万台4.9%1210万台5.0%19.8%
その他1億3530万台45.8%9750万台40.6%38.7%
合計2億9530万台100%2億4000万台100%23.1%
表1●2014年第2四半期における世界でのスマートフォン出荷台数とシェア
IDC発表資料を元に作成

 それではなぜサムスンは不調になったのだろうか。

新興国スマートフォン市場で揺らぎ始めたサムスン

 サムスンが出荷台数を減らした大きな要因として、携帯電話そしてスマートフォンのコモディティ化が進み、中国やインドなどの新興国市場で地場のスマートフォンメーカーが台頭したことがある(関連記事:欧米でも新興国でも苦境、ソニーのスマホ事業に残された選択肢)。特に人口が多く、出荷台数が見込める中国とインド市場での地場メーカーの台頭が同地で今まで1位だったサムスンの地位を脅かそうとしている。

Xiaomiに抜かれ、LenovoやYulongが迫ってくる中国市場

 中国では携帯電話出荷台数のうちスマートフォンが占める割合が90%以上を占める。調査会社Canalysは2014年8月4日、2014年第2四半期(4~6月)における中国のスマートフォン出荷台数が1億850万台で、世界市場全体の37%を占めていると発表した(関連記事:iPhoneで大騒ぎは日米だけ?Appleが世界で直面する伏兵たちとの戦い)。