Netflixがトップを走る米国の動画配信サービスにYahoo!とマイクロソフトが本格参戦。活況を呈している。いずれもオリジナルコンテンツに力を入れる。とはいえ、Netflixは元々オリジナルコンテンツに強く、最近ではAmazonの躍進も目立つ。Yahoo!とマイクロソフトに勝算はあるのだろうか。

 米国の動画配信サービス市場が活性化している。2014年にはYahoo!とマイクロソフトという大手IT企業2社が加わった。キーワードは「オリジナルコンテンツ」だ。

主力投資分野にするYahoo!

 2014年4月末、Yahoo!の動画配信ポータル「Yahoo! Screen」で30分のオリジナルコメディーシリーズを2作配信するという発表があった。これまで短編作が多かったYahoo!にとって、本格的なオリジナルコンテンツの配信は初となる。同社は2013年7月の四半期決算発表で動画配信サービスを主力投資分野にしていくと宣言した。その前段として、Flickrの投稿動画時間の延長やTumblr買収などUGC(ユーザー作成コンテンツ)の利用促進を意識した動きもある。

 ただ広告を大きな収入源としているYahoo!にとって、UGCでは大した広告収入は期待できない。これは一部報道にある、「YouTubeに投稿されたUGCの大半の広告料は1000ビュー当たり1~2ドル程度」からも推察できる。

 そこで本格的に参入しようとしているのがプロコンテンツだ。Yahoo!はテレビ局や映画配給会社とライセンス契約を積極的に進め、取り扱うコンテンツの拡大に努めている。NBCの人気番組「Saturday Night Live」の過去38年分のライセンスを取得して配信し始めたのはその一例である。

 そのうえで戦略として打ち出したのがオリジナルコンテンツ制作への本格参入だ。今回発表されたシリーズはいずれもエミー賞にノミネートされた監督がメガホンをとった。1エピソード当たり70万~数百万ドルの予算を組んでいるとの報道もあるほどの力の入れようだ。

ホームエンタメ目指すマイクロソフト

 Yahoo!と時を同じくして、オリジナルコンテンツの提供に乗り出すのがマイクロソフトである。同社のゲーム機「Xbox」向けにオリジナルテレビ番組の配信サービスを6月から実施する。既に6作品の配信が予定されているほか、現在も6作以上が制作中という。2013年2月にロサンゼルスに開設した自社のテレビスタジオで制作したドラマなどを配信する。