2016年7月4日、華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン、以下ファーウェイ)は都内ホテルで記者説明会を開催した。同社がPC市場に参入するということで多くの報道陣が集まった(写真1)。

写真1●ファーウェイのコリン・コン氏「日本のPC市場に新たな風を吹かせたい」
写真1●ファーウェイのコリン・コン氏「日本のPC市場に新たな風を吹かせたい」
(筆者撮影)
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ファーウェイ初の2-in-1デバイスはタブレットでなくPC

 ファーウェイはスマホメーカーのノウハウを生かした、スタイリッシュで軽量な2-in-1デバイス「HUAWEI MateBook」を日本で2016年7月15日から販売する。同端末は2016年2月にスペイン・バルセロナで開かれた「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2016」において、ビジネスユーザーをターゲットにしたデバイスとして発表された。記者説明会に来ていたファーウェイのコリン・コン氏によると、海外の多くのメディアからの注目も高いとのことだ。

 日本では市場想定売価6万9800円で販売する。CPUタイプやメモリー、ストレージの異なる3つのモデルに加え、法人向けにマイクロソフトWindows 10 Pro搭載モデルを用意。2-in-1デバイスおよびWindows製品の投入はファーウェイでは初めての試みだ。2-in-1デバイスとは、1台がタブレットとノートPCの両方として使えるデバイスのこと。HUAWEI MateBookはタブレットなのかノートPCなのかと思ってファーウェイ担当者に確認してみたところ、ノートPCの位置付けとのことだ。ただし、外付けのキーボードは別売り(1万4800円)だから、端末のみではWindowsタブレットのままだ。

 ファーウェイは世界的には有名なスマホメーカーだが、日本での知名度は決して高くない。また日本のPC市場は縮退している。果たしてうまくいくのだろうか。

パソコンメーカー3社統合の報道

 2015年12月4日、「パソコン3社が事業統合 東芝・富士通・VAIO交渉へ」という記事が日本経済新聞の1面で報じられた。各社が正式なリリースを出していないのに、報道だけが先走った。このニュースは日経新聞にとどまらず、他の新聞やテレビなどのニュースでも多く取り上げられ、注目の高さを伺わせた。ところが、忘れた頃の2016年4月15日、東芝、富士通、VIAOの各PC事業を統合する構想が白紙に戻る見通しになったと、再び日経新聞、朝日新聞など多くのメディアで報じられた。

 先走った報道が、あたかも3社は統合することを前提に話を進めているような印象を与えたが、正式には3社とも統合するとは認めていない。加熱な報道に対して、東芝は2016年4月15日、「PC事業については他社との事業再編も視野にあらゆる可能性を検討しているが、現時点で決まっていることはない」というコメントを発表した。富士通も「PC事業については様々な可能性を検討しているが、決定しているものはない」とコメントした。決して統合することを否定はしないため、余計にこれからも統合する可能性があるのではないか、という憶測を呼んだり、何が原因で白紙になったのかといった憶測を呼ぶことになった。ただ3社ともにPC事業が統合するのではないかと報じられるだけの要因を抱えていることは間違いない。