ブロックチェーン(Blockchain)とは、暗号技術とP2P(ピアツーピア)ネットワーク技術を応用し、データの改ざんを困難にした分散型の記録管理技術のこと。中央集権的な管理主体なしで、情報に信頼性を与えることを可能にする。FinTechなど様々な応用が期待されているブロックチェーンの今後を展望する。

 ブロックチェーン(Blockchain)と呼ばれる技術が、世界中で熱い視線を浴びている。ICTを駆使した新たな金融サービス「FinTech」をはじめ、ブロックチェーンは幅広い応用が期待されている。

 現時点でブロックチェーンを端的に説明するなら「Bitcoinを支えるオープンソーステクノロジー」となる。インターネット上で流通する仮想通貨であるBitcoinは、中央銀行に相当する仕組みを持っていない。市場に流通している通貨はその価値を保証する中央銀行が存在するからこそ、モノやサービスとの交換が成立する。

 それではBitcoinは、どのようにして信用を担保しているのか。実は、それを可能とする技術がブロックチェーンである。まずはBitcoinの現状を整理しておこう。

Bitcoin自体が破綻したわけではない

 2013年の後半から2014年半ばにかけて、Bitcoinは大きく世間を騒がせた。その取引価格は一時急騰したものの、中国の中央銀行が信用を疑問視する通達を出したことで一気に暴落した。日本では2014年2月にBitcoinの交換所であるMt. Goxがすべての取引停止を発表し破産となった。

 このMt. Goxの破産を受けて、日本のメディア各社は一斉にBitcoinの脆弱性が露呈したと報道し、あたかもBitcoinそのものが破綻したかのような印象を与えた。

 しかしMt. Goxの破産は、例えて言えば私設の外貨両替所が店を閉めたというもので、Bitcoinの仕組みそのものが崩れてしまった訳ではない。実際、Bitcoinは今でも入手可能で、1Bitcoin当たり450ドル程度(2016年1月8日時点)で取引されている。パソコン大手の米デルは、Mt. Gox破産後の2014年7月に米国内でBitcoinによる支払いを可能とした。つまり、Bitcoinの背景にある技術は今もしっかりと機能し続けていることになる。