米グーグルは2014年10月15日、Androidの最新版「Android 5.0」(開発コード名:Lollipop)を正式発表した。11月3日発売の「Nexus 9」に搭載してリリースする予定だ。また、10月17日にはAndroid 5.0のSDKと、最終版と見られる開発者向けプレビュー版を公開した。リリース直前のAndroid 5.0について紹介する。

 「Android L」と呼ばれていた次期Android OSが「Android 5.0」として正式発表された。8月号のAndroid Watchでも紹介した通り、Android 5.0の最大の変更ポイントは、UIとアプリ実行環境、消費電力低減にある。

 UI面での主な変更は、新デザインガイドライン「マテリアルデザイン」の採用と通知機能の改良である。

写真1●Android 5.0のタスク切り替え画面
写真1●Android 5.0のタスク切り替え画面
マテリアルデザインを採用した3Dアニメーション表示で軽快にタスクを切り替えられる
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 紙とインクから着想したというマテリアルデザインでは、画面要素を立体的に表現し、それを質量を感じさせるアニメーションで移動させる。これにより自然で違和感のない操作を実現している。また、様々な画面サイズのデバイスでの利用を考慮して、シンプルなフラットデザインを採用するのも特徴である。マテリアルデザインの例として、Android 5.0のタスク切り替え画面を写真1に挙げた。実行中の各タスクが立体的に表示され、スムーズなアニメーションで表示するタスクを切り替えられる。

 通知機能については、ロックスクリーンに(プライベート情報以外の)通知情報をカード状に並べて表示するようにしたほか、着信やバッテリー警告のような重要通知については他のアプリを使用中にも即時オーバーラップ表示できるようにした。

 アプリ実行環境については、従来の「Dalvik」に代わり、「ART」(Android Runtime)を採用する変更を加えている。これにより、アプリの実行性能は約2倍に向上したという。

 DalvikとARTの最大の違いは、ネイティブコードへの変換をいつ実施するかにある。アプリ実行時に毎回変換していたDalvikに対し、ARTでは、アプリのインストール時や初回起動時に1度だけ変換を実施する「事前コンパイル」という方式を採用する。変換回数が減ることに加え、変換処理に比較的時間をかけられるために高度な最適化を施しやすい利点がある。

 またAndroid 5.0には、電力利用効率向上を目指す「Project Volta」というプロジェクトの成果が取り込まれる。これにより、バッテリー駆動時間の延長が実現する。