ソフトバンクとウィルコム沖縄は2016年7月5日、国内初となるAndroid One端末(507SH)を同月下旬に発売すると発表した。Android Oneは、米グーグルが端末メーカーや通信事業者と共同で展開する端末提供プログラム。2年間のセキュリティ更新を保証する同プログラムは、セキュリティ更新が十分ではない日本の現状を変える可能性がある。
Android Oneは、米グーグルが2014年に開始した端末提供プログラムである。まだスマートフォンを所有していない「次の50億人」に入手しやすく安全な端末を提供することを目的に、同社はこのプログラムを主に新興国で展開してきた(表1)。
Android Oneの大きな特徴は、ソフトウエアアップデートをグーグルが直接提供することである。同社が販売するNexus端末と同様に月次のセキュリティ更新も提供する。端末発売から18カ月間は最新バージョンのAndroidを提供し、最低2年間はセキュリティ更新を提供することを保証している。
同社がこうした手厚い対応をするのは、継続的なソフトウエアアップデートを提供する余力のない新興国などの端末メーカーや販売元に任せたままでは、最新の機能やユーザーインタフェースを利用できないユーザーが多数生じたり、セキュリティリスクが放置されたりすることでAndroidのブランド価値が毀損する恐れがあるからである。
日本が対象国となる衝撃
このAndroid Oneプログラムに基づく端末が日本国内でも販売されることになった。ソフトバンクとウィルコム沖縄が2016年7月下旬に発売予定の「507SH」(写真1)がそれに当たる。
507SHの主な仕様は表2の通り。オクタコアCPUを搭載するものの全体的に性能は控えめで、エントリークラスからミドルレンジクラスの端末に相当する。製造元はシャープで、KDDI(au)と沖縄セルラー電話が2016年6月に発売した「AQUOS U SHV35」とほぼ同じ仕様である。ただし、507SHは「おサイフケータイ」には対応していない。代わりにワンセグ機能を備える。
Android Oneの当初の狙いを考えると同端末の国内発売は衝撃的と言える。確かにAndroid One端末はこれまでにもOECD(経済協力開発機構)加盟国の一部で販売されていた。しかし、独自のAndroid端末を開発してきた実績を持つ端末メーカーや通信事業者が複数あり、スマートフォンの普及度も高い日本においてAndroid One端末が発売されることになると想像していた人は決して多くはないだろう。