米グーグルは2017年3月21日、「Android O」という開発コード名の次期版Androidの開発者向けプレビュー版を公開した。使い勝手を劇的に変えるような新機能はないが、認証情報の自動入力を可能にするAutofillフレームワークの導入やBluetoothオーディオのコーデック拡充など着実な改善が見てとれる。

 米グーグルは、次期版Android(開発コード名:Android O)の開発者向けプレビューの最初のバージョン(Developer Preview 1)を、同社が販売するPixel/Nexus端末の一部向けのイメージファイルとして2017年3月21日に公開した。同社は、ベータ版のAndroidを端末にOTA配信する「Android Beta Program」を提供中だが、Android Oの開発者向けプレビューについては4月19日時点で同プログラムでの配信は始まっていない。

同プログラムでの配信は始まっていない▲
現在は配信されている。

 グーグルは、Android Oの新機能/改善点についての情報も公開した(表1)。アプリ権限の管理方法を大幅に変更したAndroid 6.0やマルチウインドウ機能を導入したAndroid 7.0に比べると小粒な印象は否めないが、着実な改善が進んでいることは分かる。

表1●Android Oの主な新機能/改善点
表1●Android Oの主な新機能/改善点
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認証情報の自動入力に対応

 Android Oの目玉機能の一つが、アプリにユーザー名やパスワード、メールアドレスなどを自動入力可能にする「Autofillフレームワーク」である。入力の手間を減らせるだけでなく、入力動作を見られることでパスワードなどが漏洩する危険を低減できる。

 Autofillフレームワークによる自動入力は、Androidの標準ビューを使用するアプリならそのまま有効になる。ただし、「設定」→「アプリと通知」→「デフォルトアプリ」→「自動入力アプリ」で表示される設定画面で、認証情報などを管理するアプリを事前に設定しておく必要がある。

 グーグルが提供するサンプルアプリ(https://github.com/googlesamples/android-AutofillFramework)のスクリーンショットを見ると、ユーザー名を選択するだけでパスワードが自動入力される様子が分かる(図1)。また、パスワード管理ソフト「1Password」を開発するカナダのアジャイルビッツは、同フレームワークを使ってTwitterへのログインを自動化するデモンストレーション動画を公開している(https://blog.agilebits.com/2017/03/24/hey-oh-android-o/)。

図1●Autofillフレームワークによる自動入力の例
図1●Autofillフレームワークによる自動入力の例
グーグルが提供するAutofillフレームワークのサンプルアプリ(https://github.com/googlesamples/android-AutofillFramework)のスクリーンショットに基づいて作成した。
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