iOS 8.2の登場から1カ月弱でリリースされたiOS 8.3は、不具合の修正が中心となるマイナーアップグレード版である。修正されたのは、Wi-Fi(無線LAN)やBluetoothでの接続時にログイン資格情報を継続的に要求される問題、Wi-Fiネットワークへの接続が断続的に切れる問題、画面の回転が正常に機能しなかったり、回転時に動作が不安定になったりする問題などである。

 機能拡充点もいくつかある。グーグルの2段階認証への対応、iPhone 6シリーズでの「VoLTE」(Voice over LTE)対応(キャリアアップグレード適用が必要)、App Storeなどでのコンテンツ購入時のパスワード要求頻度を設定可能になった、App Storeなどで無料コンテンツのダウンロード時に認証が不要になった、利用できる絵文字の種類が増えた─などだ。全体的には地味な新版という印象を受ける。

58のセキュリティ問題を修正

 しかしセキュリティ向上という点ではiOS 8.3には特筆すべきものがある。iOS 8.2までに存在していた58ものセキュリティ問題を修正した。これは、メジャーバージョンアップ時に匹敵するほどの修正量だ。

 修正された脆弱性には深刻度の高いものも多い(表1)。システム権限で任意のコードを実行される危険がある脆弱性なども含まれているため、適用可能な端末ではすぐにアップグレードすることが望ましい。iOS 8.3は、iPhone 4s以降、iPad 2以降、iPod touch 5Gなどの端末に適用できる。

表1●iOS 8.3で修正された主な脆弱性
表1●iOS 8.3で修正された主な脆弱性
[画像のクリックで拡大表示]