世界のセキュリティ・ベンダーのブログから、興味深い記事を紹介する。まずはスマートメーターがハッキングされた場合の脅威について。トレンドマイクロが考察している。

 スマートメーターは携帯電話の通信ネットワークや電源線ネットワーク、ユーザー自身が導入したインターネット接続を介して通信を行う。この点を念頭に置いて、問題を考える必要がある。

 真っ先に思いつく脅威はメーター改ざん。スマートメーターが乗っ取られ、誤った情報が公益事業者に送信される。攻撃者が数値を操作し、結果的に高額な請求書が送られてくることになる。例えば隣人と言い争いをしたとする。隣人が仕返しにあなたの家のスマートメーターに不正アクセスし、あなたは法外な電気代を請求されるかもしれない。

 その逆も考えられる。例えば、仮想通過マイニングといった大量の電力が必要な活動をしている者が、スマートメーターに不正アクセスして測定値を低くしたり、電気代が安い時間帯の使用に見せかけることが可能だ。

 犯罪集団がスマートメーターを利用し、誰かが在宅中か、あるいは全員外出中かを電力消費状況から判断することもできるだろう。誰も家にいないと分かれば、簡単に空き巣に入ることができる。

 スマートメーターの接続もセキュリティのリスクにさらされている。一部のスマートメーターは携帯電話ネットワークを使って公益事業のメインサーバーにアクセスしている。もちろん公益事業者はこの回線使用料を支払っている。この回線を利用して無料で電話をかけたり、テキストメッセージを送信したり、インターネットにさえもアクセスしたりする者がいるかもしれない。

 あるいは、家庭向けインターネット接続を使っている場合、外部からスマートメーターをハッキング可能なら、内部ネットワークが不正アクセスされるおそれがあり、ホームネットワークを攻撃の危険にさらすことになる。

 ここで挙げた攻撃はどれも小規模なものだが、スマートグリッド全体に与える影響を理解し、スマートメーターがさらに普及した場合の防御策を考える必要がある。