アップルの「iPad Pro」が間もなく登場する。12.9型にまで大型化された液晶パネルや、液晶保護カバーを兼ねる大型キーボードが用意されることなどから、「パソコン代わりに使えるのでは?」という期待を持つ人が多いことがSNSなどからうかがえる。USBなどの汎用的な端子がないうえ、iPhoneなどと同じiOSを採用しており、実際はパソコンと同じように使うのは厳しい。だが、アプリが充実しているiOSに使い勝手のキーボードや完成度の高いペン型デバイスが加わることにより、これまでのiPadにもMacBook Airなどのノートパソコンにもない魅力を持つ1台に仕上がっていた。
液晶パネルのサイズは意外にちょうどよい スピーカーのデキは秀逸
iPad Proを手にすると、やはり「大きい!」と感じたが、しばらく触っていると「別に大きすぎずちょうどいいサイズかも」という印象に変わった。iPad Proは、iPad AirシリーズやiPad miniシリーズに比べれば巨大だが、普段よく使うA4判の用紙をわずかに大きくしたサイズなので、意外にしっくりとくるのだ。重さは713g(Wi-Fiモデル)と大きさの割に軽めなことも、ジャストサイズという印象を強める。
iPad Proの最大の特徴である12.9型の液晶パネルは、9.7型のiPad Air 2と比べても表示面積は約1.77倍ほど広い。単に大きいだけでなく、2732×2048ドットの高精細表示に対応しており、高性能のモバイルノートPCを超える表示性能を持つ。同じ写真をiPhone 6とiPad Proで表示させると、iPhoneでは拡大しなければ分からなかった細かな部分の描写がiPad Proでは全画面表示でしっかり確認できた。
ただ、デスクトップのアイコンは相変わらず4列×5段(縦長表示の場合)の固定でアイコンのサイズも変わらないので、アイコンは間延びした印象を受ける。アップルがiOSデバイスに対して長年こだわってきた部分ではあるが、せっかくの高解像度パネルのメリットを生かすべく、柔軟にカスタマイズできるようにしてもよかったと感じた。
本体の大型化にともなって恩恵を受けたのがスピーカーだ。これまでの底面2つに加えて上部にも2つを追加し、合計で4つのスピーカーを搭載する。これにより、画面を縦長にしても横長にしてもステレオで音声が再生できるようになった。片方のチャンネルを上下2つのスピーカーで鳴らす仕組みだが、上部のスピーカーで高音部を、下部のスピーカーで低音部が流れるようチューニングしており、自然な広がり感で楽しめるよう工夫しているのも評価できる。音量を大きくしても音が割れることはなく、タブレットの内蔵スピーカーとしては秀逸な仕上がりだと感じた。