BtoBマーケティングや営業活動でよく用いられる「ユーザー事例」。商品・サービスを利用している企業の姿を具体的に示すことで、顧客を安心させたり判断を後押ししたりする効果があります。ところが、ユーザー事例を効果的に活用できている企業は、意外と少ないものです。

 散見されるのが「目的がよく分からない」事例です。例えば、ユーザー企業の利用状況は書かれているものの、内容が総花的で焦点が定まっていない事例がそうです。逆に、メッセージ性は強いものの、作り手の自己満足にしか見えない事例も少なくありません。

 事例のパンフレットを作ってみたものの、今ひとつ効果を実感できない――という方は、対象事例の選び方、メッセージの作り方、ビジュアルなどの伝え方、が間違っている可能性があります。適切な事例は優秀な営業担当者に匹敵する力を持つものです。

 そこで今回の週末スペシャルでは、これまで1300件以上の事例企画・作成を手がけ、ITpro Activeアカデミー「事例マーケター養成講座」の講師も務めるカスタマワイズの村中明彦氏が、事例マーケティングで直面しがちな課題をQ&A形式で解説します。


相談:事例パンフレットや事例広告の反応が悪い

 この夏、新商品・サービスを拡販するタイミングで、新規顧客を開拓するために事例集を作成し大規模に配布しました。いつもは社員が仕事の合間に事例パンフレットを作成していているのですが、今回はお金をかけて、社外のデザイナーやカメラマン、コピーライターの協力を得て作りました。表紙や紙質も良くして、見た目も豪華な事例集にしました。ところが、ことのほか反応が悪いのです。原因は何が考えられるでしょう。