アジアIT人材の活用に注目が集まっています。中国などアジア各国でソフトウエアを開発する「オフショア開発」は、コスト削減の要として5~10年前に広く関心を集めましたが、中国国内での反日問題や人件費の高騰などにより近年は下火になっていました。しかし、国内IT人材の慢性的な不足やグローバル化の拡大などにより、ここにきて改めて注目が集まっています。

 5~10年前のオフショア開発ブームとの違いは、コスト削減の要としてではなく、中長期的な視点に立ったソフトウエア開発力の拡大を狙っている点です。開発を委託する国としては、ベトナムやミャンマー、タイ、フィリピンなどに軸足が移っています。開発拠点は日本国内に置き、アジアのIT人材を日本に呼び込んで開発するような変形型のオフショア開発を採用する企業も出始めているようです。

 とはいえ、オフショア開発のハードルは低くはありません。そこで今回の週末スペシャルでは、「オフショア大學」を主宰するアイコーチの幸地司氏が、オフショア開発やアジアIT人材の活用で直面しがちな課題をQ&A形式で解説します。


【相談】せっかく育てたベトナム人のSEがすぐに辞めてしまう

 オフショア開発のPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を担当しています。以前は中国でのオフショア開発を担当していましたが、現在はベトナムでの開発にシフトしつつあります。ところが、せっかく育てたベトナム人のSEが、すぐに辞めてしまうのです。中国でも同様な課題はありましたが、現時点で比較すると、ベトナムのSEの方が定着率が低いのが実情です。何が問題なのでしょうか。