今年もコンシューマー向けの新型インクジェットプリンター(複合機)の出荷が始まった。キヤノンは9月3日、セイコーエプソンは9月10日、ブラザー工業も予定通り9月下旬から新モデルが店頭に並んだ。日本HPは、企業再編の影響もあって今年は製品発表が遅れているが、発売の計画はあるようだ。ここでは出荷済み3社の主力機種(写真1)を中心に、各社製品の特徴をチェックした。製品選びの参考になれば幸いだ。

写真1●主要3社の2015年モデル主力機種
写真1●主要3社の2015年モデル主力機種
左から、キヤノン「PIXUS MG7730」、セイコーエプソン「Colorio EP-808A」、ブラザー工業「PRIVIO BASIC DCP-J963N」
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 まず3社の現行ラインアップを税別の実勢価格で並べて、全体の傾向を見てみた(図1)。今年の各社の主力機は、キヤノンが「MG7730」、エプソンが「EP-808A」、ブラザーが「DCP-J963N」。2強メーカーのキヤノンとエプソンが、それぞれ2万円台半ばから3万円で提供し、ブラザーが2万円弱というコストパフォーマンスの良さで勝負する形となっている。

図1●家庭向けA4インクジェット複合機の実売価格
図1●家庭向けA4インクジェット複合機の実売価格
太字は新モデル(限定モデル除く)、赤字は主力機種。※1手差しA3対応、※2連続給紙A3対応。2015年10月上旬時点の税別価格
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 また、キヤノンは約1万円から2万円台まで、ほぼ均等に4機種を投入しているのに対して、エプソンは約5000円から4万円台半ばまでの幅広い価格帯に4機種を投入している。エプソンの製品で1万円を切る「PX-047A」と「PX-045A」は、全色顔料インクを採用する文書印刷向けの低価格モデルだ。一方、ブラザーは1万円前半から2万円台にかけて、数多くの機種をラインアップしていることが分かる。

 このほかキヤノンは「MG7730」と同仕様の女性向けモデル「MG7730F」も数量限定で提供している。本体色は「エクリュベージュ」と呼ばれる淡いベージュで、本体上面には「ボタニカルモチーフ」という植物柄をあしらい、同様のデザインで統一した専用のスマホアプリ「PIXUS Atelier PRINT」も用意。さらに手作りプリントのガイドブックやクラフトシールも同梱する。

 エプソンは、主力の「EP-808A」には3種のカラーバリエーションを用意しており、上位モデルの「EP-978A3」は1枚手差しA3対応、「EP-10VA」は10枚まで自動給紙できるA3対応機だ。ブラザーも、通常モデルとFAX搭載モデルの両方に、1枚手差しA3対応機を用意している。つまり、A3印刷が必要な場合は、キヤノンは選択肢から外れることになる。ただし、A3対応といってもEP-10VA以外は、あくまでも1枚ずつの手差し印刷になる点には注意したい。

 なお、各社ともビジネス向けのインクジェットプリンターは、コンシューマー向けとは別に投入している。キヤノンはMAXIFYシリーズ「MB5030」「MB5330」など、セイコーエプソンは「PX-B750F」「PX-M741F」やA3対応の「PX-M5041F」など、ブラザー工業はA3対応の「MFC-J6973CDW」や「MFC-J5720CDW」などを発売している。本格的に仕事に使うなら、耐久性や印刷速度、給紙容量に余裕を持たせたビジネス向け機種の方が快適に使えるので、別途チェックするのがお勧めだ。