「2015年問題」の影響を不安視するIT関係者は67.4%――。本誌のアンケート調査で明らかになった数字だ(有効回答数は1191人、7月実施)。多くの方にご協力いただいたことに、まずは感謝申し上げる(関連記事1:「2015年問題」はあなたを直撃するか?、関連記事2:想像以上に人手不足は深刻化)。

 2015年問題とは、大型のシステム刷新プロジェクトの集中とIT投資の回復が重なり、深刻なITエンジニア不足に陥る懸念のことだ。67.4%の内訳は、2015年問題を「知っており、自分も影響を受けそうで不安である」が45.8%、「知らないが、自分も影響を受けそうで不安である」が21.6%である。

 2015年問題という言葉から、ITエンジニア不足は2015年を過ぎれば解消するかのように思いがちだが、どうもそうではなさそうだ。「ITエンジニア不足は、今後1、2年の話ではなく、しばらくの間、続きそうだ」と大手の人材派遣会社の担当者は指摘する。

2015年問題、対策手付かずが約7割

 大型プロジェクトが佳境を迎えるのは2015~2017年になる見込みだ。だが、中堅ITベンダーのマネジャーからは、「2015年問題を乗り切ることは不可能。既に目の前の業務で現場の疲弊は始まっているのに、ユーザー企業の担当者やIT企業の経営者は気が付いていない」と、悲痛な意見が寄せられた。

 影響が出始めているのはITベンダーだけではない。「以前なら、承諾してもらっていた納期の条件を出しても、ITベンダーから断られるケースが増えた」。中小ユーザー企業の担当者は、このように訴える。

 IT業界にとって今、目の前で発生している2015年問題。対策状況はどうか。「あなたが所属する組織は、人手不足を補うための対策を打っているか」と尋ねたところ、68.3%が「手付かず」であることが判明した。多くの関係者は2015年問題を不安視しながらも、具体的な施策を採ることができていないのが実態だ。特に、ユーザー企業のシステム部門は、未対策の割合が約8割に上った。