サムスン電子が2017年8月23日(米国時間)に発表した、Galaxy Noteシリーズの最新モデル「Galaxy Note8」。昨年発売した前機種「Galaxy Note7」が多くの発火事故を起こし、販売中止となったことで大きくイメージを損ねたGalaxy Noteシリーズだが、それでもなおサムスンがこのシリーズにこだわる理由はどこにあったのだろうか。
発火事故でシリーズの存続も危ぶまれていた
今回発表されたGalaxy Note8は、サムスンとユーザー、特にGalaxy Noteのユーザーにとって、非常に大きな意味を持つモデルになったといえるだろう。
もともとGalaxy Noteシリーズは、「Galaxy S」シリーズと並ぶサムスンの“顔”というべきモデルだ。同シリーズは、2011年(日本では2012年)に発売された初代「GALAXY Note」から一貫して、「大画面」と「ペン操作」という共通した特徴を持っている。
Galaxy Noteシリーズは、まだ大画面スマートフォンが少なかった時代から5型を超えるディスプレーを搭載したことで驚きをもたらしたほか、「Sペン」と呼ばれる独自のペンを用いることにより、紙にメモをする感覚に近い書きやすさを実現。さらにモデルを重ねるにつれ、ペンを活用した便利な機能や操作を加えることで、多くの進化を遂げてきた。
多くの独自性を備えたモデルであることから、Galaxy Noteシリーズは王道というべきフラッグシップモデルのGalaxy Sシリーズとは異なる客層を獲得。サムスンのスマートフォン利用者の拡大に大きく貢献したモデルとなっている。
そのGalaxy Noteシリーズの評価を一変させたのが、昨年発売した「Galaxy Note7」で発生した多くの発火事故である。Galaxy Note7は発売後ほどなくして、バッテリーの不具合による発火事故が多発。サムスンは問題となったバッテリーを搭載したモデルを回収し、新しいバッテリーに交換するなど対策を急いだが、交換後のバッテリーでも発火事故が起きたことから、さらに大きな問題へと発展。世界的な社会問題として取り上げられるに至ったのだ。
その結果、サムスンはすべてのGalaxy Note7を回収し、販売も中止した。結果的にGalaxy Note7は“幻”の機種となり、Galaxy Noteシリーズ、ひいてはサムスンのスマートフォン事業の存続まで危ぶまれることとなったのである。