500MBまで0円で利用できる「0 SIM」など、独自色の強いモバイル通信サービスを提供するMVNOの1つ、ソニーネットワークコミュニケーションズの「nuroモバイル」。今回新たに「データ前借り」「深夜割プラン」など特徴的なサービスを発表した。狙いはどこにあるのだろうか。

月末に通信容量の「前借り」ができる新サービス

 インターネットサービスプロバイダーの「So-net」や、“世界最速”をうたう光ブロードバンドサービス「NURO 光」で知られる、ソニーネットワークコミュニケーションズ。同社がMVNOとして展開しているモバイル通信サービス「nuroモバイル」は、特徴的なサービスの数々を打ち出してきた。

 2015年には、500MBまでのデータ通信が月額料金無料で利用できる「0 SIM」を提供し、大きな話題となった。さらに2017年1月には、2GBから10GBまで、1GB刻みで好みのデータ通信容量を選べる「容量プラン」、月額2500円で1日5時間だけ高速データ通信ができる時間制の料金プラン「時間プラン」を提供。利用時間は制限されるものの、時間内であれば高速通信ができる容量に制限がないことから、データ通信のヘビーユーザーに好評だ。

nuroモバイルは、通信容量ではなく時間で高速通信を制限する「時間プラン」など、独自色のある料金プランを提供している。写真は8月1日のnuroモバイル記者会見より
nuroモバイルは、通信容量ではなく時間で高速通信を制限する「時間プラン」など、独自色のある料金プランを提供している。写真は8月1日のnuroモバイル記者会見より
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 このように、他のMVNOにはないプランを提供することで、話題となってきたソニーネットワークコミュニケーションズが、8月1日、新サービスを発表した。その新サービスも、従来のモバイル通信サービスにはないユニークな内容だった。

 まず、データ通信容量の「前借り」だ。これは容量プラン向けのサービスで、その月のデータ通信容量がなくなったら、翌月のデータ通信容量を10MB単位で2GBまで前借りできるというものだ。

「容量プラン」向けに提供される新サービス「データ前借り」。その月のデータ通信容量を使い切った場合、翌月の容量から最大2GBまでチャージできる仕組みだ。写真は8月1日のnuroモバイル記者会見より
「容量プラン」向けに提供される新サービス「データ前借り」。その月のデータ通信容量を使い切った場合、翌月の容量から最大2GBまでチャージできる仕組みだ。写真は8月1日のnuroモバイル記者会見より
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 ソニーネットワークコミュニケーションズのモバイル事業部門 ビジネス開発部の細井邦俊部長は、このサービスを、「月末に通信容量が尽きてしまったけれど、お金を払って容量を追加するほどではない、あと少しだけ容量を追加してしのぎたいというニーズに応えたサービスだ」としている。ただし、月をまたぐ情報処理の都合上、月の末日には前借りができなくなるため、その前日までに利用しなければならないとのこと。

 同社では、容量プランに向けて、余った通信容量を翌月に繰り越しできるサービスも提供していることから、繰り越しと前借りを活用することで、これまでよりも通信容量を無駄なく利用できるようになるという。