「英語が苦手」というITエンジニアは少なくない。英語に苦手意識を持つITエンジニアの話を聞くと、共通していることがある。「難しい日本語を、難しい英語や完璧な英語に翻訳しようとしている」ことだ。こうした姿勢では、英語の苦手意識を克服することは難しい。

 では、どうすればよいか。英語が苦手なITエンジニアにお勧めするのが、「シンプルな日本語(シンプルジャパニーズ)に言い替えてから、シンプルな英語に翻訳する」という方法だ。難しい日本語の文章を英訳せず、伝えたい意味や意図を簡単な日本語に言い替えてから英訳する。

 極論だが、「相手に伝える」ことを重視し、枝葉末節のこだわりは捨てる。簡単な日本語に言い替えられるスキルを身に付ければ、中学生レベルの英語力を少し磨くだけで、海外のIT人材と対話できるようになる。シンプルな日本語であれば、グーグルなどが提供するネット上の自動翻訳機能を使って、「そこそこ誤解なく伝わる」英語に翻訳することも可能だ。

 今回の週末スペシャルでは、「シンプルな日本語に言い替えてから、シンプルな英語に翻訳する」ためのコツを紹介する。指南役は、日経BP社の人気セミナー「TOEIC 500点未満のIT担当者向け~英文コミュニケーション実践講座」の講師を務める幸地司オフショア大学代表・アイコーチ社長と赤羽根弥生オフショア大学認定グローバル英語トレーニング講師である。

「人海戦術」をどう伝える?

 海外での開発プロジェクトが遅れていたとしよう。あなたは上司から「あのプロジェクトはどうなっているんだ。先行きがとても不安だ。人海戦術でなんとかするよう、現地の開発チームに伝えるように」と指示されたとする。英語に翻訳して伝えるのが、あなたの仕事だ。ここで「人海戦術を英語に翻訳すると・・・」という発想になると、英語の迷路に足を踏み入れてしまう。

 「シンプルな日本語に言い替え、シンプルな英語で伝える」のであれば、上司の言葉をそのまま英語にするのではなく、伝えたい意図を理解して簡単な日本語に言い替えることが第一歩だ。