ソニーのデジタルペーパー「DPT-RP1」。価格はソニーストアで7万9800円
ソニーのデジタルペーパー「DPT-RP1」。価格はソニーストアで7万9800円
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 筆者は、電子ペーパーを採用したソニーの電子書籍リーダー「Reader」シリーズを愛用している。しかし、Readerシリーズの開発は既に終了しており、先日はついにReader端末からの電子書籍・電子コミックストア「Reader Store」でのコンテンツ購入ができなくなった。

 一般ユーザー向けの電子ペーパー製品は減少しているが、ソニーは電子ペーパーを使った端末を現在も開発している。2017年6月5日には2世代目のデジタルペーパー「DPT-RP1」が発売された。

 電子ペーパー端末を開発する理由はどこにあるのか。また、製品にはどんな特徴があるのか。マーケティング担当者にその真意を聞くとともに、製品の特徴を探った。

PDFに完全特化した仕様に

 DPT-RP1はA4サイズ相当で、13.3型の電子ペーパーを採用。重さは約349gで、片手でも余裕で持てるサイズ感だ。

 E-Ink社のディスプレイを採用している点はReaderシリーズと同様だが、大きな違いはPDFの読み書きに特化している点だ。充電式のアクティブスタイラスペンを付属し、紙に近い感覚で書き込みができる点も大きな特徴といえる。

 対応するのはPDFファイルのみで、Wordやパワーポイントのファイルなどは対応していない。それらのファイルを見たい場合はPDFに変換してから保存する必要がある。また、Reader Storeなどで購入した電子書籍の閲覧ができない点からも、PDFに機能を特化させていることがわかる。

サイズはA4サイズの紙とほぼ同じで、画面サイズは13.3インチ(左)。厚さは約5.9mmと極薄で、重さも約349gと軽量だ(右)
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サイズはA4サイズの紙とほぼ同じで、画面サイズは13.3インチ(左)。厚さは約5.9mmと極薄で、重さも約349gと軽量だ(右)
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サイズはA4サイズの紙とほぼ同じで、画面サイズは13.3インチ(左)。厚さは約5.9mmと極薄で、重さも約349gと軽量だ(右)
ペンは画面に手をついた状態で書き込むことが可能(左)。文字の書き込み以外に、テキスト部分をマーキングすることもできる(右)
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ペンは画面に手をついた状態で書き込むことが可能(左)。文字の書き込み以外に、テキスト部分をマーキングすることもできる(右)
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ペンは画面に手をついた状態で書き込むことが可能(左)。文字の書き込み以外に、テキスト部分をマーキングすることもできる(右)
充電式のアクティブスタイラスペンは、握る部分に2つのボタンを装備。下ボタンを押すと消しゴム機能、上ボタンを押すとマーキング機能を利用できる
充電式のアクティブスタイラスペンは、握る部分に2つのボタンを装備。下ボタンを押すと消しゴム機能、上ボタンを押すとマーキング機能を利用できる
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軽く、薄く、目が疲れない

 紙の束を持ち歩いていた人をより手軽にしたい。そんな思いから「A4サイズで読み書きできる端末」として開発されたデジタルペーパー。

 ビジネスシーンではA4サイズの書類や資料が多く利用されることから「デジタルペーパーにはニッチながらも確実なニーズがある」とデジタルペーパー事業推進室室長の金谷二朗氏は語る。

 実際、2013年に発売された初代モデル「DPT-S1」は、多くの論文や資料に目を通す学者や弁護士、学生のレポートを採点する大学教員などからのニーズが非常に高かったとのこと。評価も高く、2代目である新モデルのDPT-RP1の開発につながっている。

ソニービジネスソリューション 営業部門 デジタルペーパー事業推進室 室長の金谷二朗 氏(左)と、同 シニアセールスマネジャーの北島秀明 氏(右)
ソニービジネスソリューション 営業部門 デジタルペーパー事業推進室 室長の金谷二朗 氏(左)と、同 シニアセールスマネジャーの北島秀明 氏(右)
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 PDF資料の閲覧やペンでの書き込みは、iPadやSurfaceといったタブレット端末でも可能だ。

 ただ、電子ペーパーを採用するDPT-RP1はバックライトがないため、長時間画面を見ていても目が疲れにくい。また、暗い場所では見えにくいが、太陽光の下でも問題なく見られるというのも強みだ。

 さらに、バックライトがないことから薄型・軽量デザインにできるほか、バッテリーの持続時間が長いのも大きなメリットのひとつ。最長で約3週間というバッテリー持続時間は、通常のタブレット端末ではとても不可能だろう。

「デジタルペーパーはA4サイズかつ軽さ、薄さ、バッテリーの持ちを全て満たすオンリーワンの製品だ」と、金谷氏は自負する。