アップルが12.9型の「iPad Pro」を発売してから半年後の2016年3月31日、それより2回りほど小さな9.7型iPad Proが発売された。
12.9型のiPad Proが発表されたとき、筆者は純正スタイラスペン「Apple Pencil」と純正カバー兼キーボード「Smart Keyboard」に惹かれて購入も考えたが、実際に見に行くとあまりの大きさに驚き、購入をためらってしまった。
しかし、新しいiPad Proのサイズは従来のiPadと同じものになり、さらにApple PencilとSmart Keyboardも使える。以前からiPad Airを愛用していた筆者にとっては、9.7型のiPad Proは慣れ親しんだ大きさだ。
こうなれば、購入をためらう理由は何もない。発売後、即座に9.7型のiPad ProとApple Pencil、シリコンケースを買ってしまった。
カメラ機能は使いやすいか
9.7型iPad Proには、12.9型iPad Proよりさらに進化した機能がある。従来の800メガピクセルから1200メガピクセルにアップしたカメラや、すばやくピントを合わせられる「Focus Pixels」を使ったオートフォーカス、シャッターを押した前後の動きや音を同時に撮影できる「Live Photos」、フルハイビジョンの縦横2倍の画素数で撮影できる4K動画など、主にカメラ機能である。
タブレット端末の主な使われ方は、ネットサーフィンや映画鑑賞、読書など、コンテンツを閲覧することだと思っていただけに、この方面の進化は予想外だった。
進化したiPad Proのカメラ機能を試してみたところ、思った以上に使えた。iPhoneで写真を撮ると、知らない間に手がレンズにかかってしまい、後で写真を見てがっかりすることがある。しかしiPad Proの場合、写真を撮影する際に両手でつかむように握るので安定感もよく、手の位置もレンズにかかることがない。また、 9.7インチの画面を見ながら撮影するので、ピンボケにならない点も気に入った。
実際に旅先で写真を撮ってみたところ、撮影時の安定感が良く、フォーカスがすぐに決まるので、構えてすぐに写真を撮ることができた。iPad Proのためにカバンを常に持ち歩かないといけないのは少し煩わしかったが、その点を除けば、スマホより快適に撮影できる。
しかし、動画をiPadで撮るという気にはならなかった。両手でつかむように握ることが裏目に出て、動きのあるものを撮るには不向きなのだ。また、iPadで4Kのきれいな動画を撮影するには、おそらく三脚などで固定して撮影する必要があるだろう。しかし、そこまでして撮影したいとは思えない。やはり、ある瞬間を動画に収めるには、スマホのほうが適しているように思う。