システム開発の要件定義や業務改革の課題抽出などにおいて、とても重要な作業の一つが「ヒアリング」です。この作業でステークホルダーの本音を引き出せないと、開発作業で手戻りが発生したり、とんでもない方向に業務改革が進んでしまったりする問題を引き起こします。

 実はヒアリングはとても奥が深い作業です。聞き手が知りたいことをまとめた質問シートを用意し、一方的に問い詰めるようなヒアリングでは、相手の本音を引き出すことはできません。そのようなアプローチでは、「あの時はこう言ったけど、本当はこうなんだ・・・」と後になってヒアリング相手が本音を漏らすような事態を招きます。

 ヒアリングの成果を高めるには、準備段階から実施段階まで様々なテクニックを駆使する必要があります。今回はその一部を、日経BP社の人気講座「ヒアリングスキル養成講座」の講師を務める吉岡英幸氏(ナレッジサイン代表取締役 グローバルファシリテーター)がQ&A形式で紹介します。

 では、最初の相談です。

要件の優先順位を聞き出したい

 販売システムを再構築するプロジェクトで要件定義を担当しています。ユーザー部門に必要な要件をヒアリングしているのですが、あまりにも要望が多くて優先順位を付けることができません。ユーザー部門の担当者に優先順位を聞いても「全部が同じくらい重要です」などと言われる状況です。ヒアリング段階で何か工夫できることはありませんか。

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