スマートフォンの“実質0円”販売が姿を消した春商戦が終わり、間もなく夏商戦を迎える。今年はどのような端末が発売され、今後の携帯電話市場にどのような変化をもたらすのだろうか。

例年とは大きく異なる今年の夏商戦

 今年もそろそろ夏商戦の新製品発表会が開催される。端末の価格が注目される春商戦とは異なり、ボーナスシーズンを迎える夏商戦は最新のスマートフォンが出そろうシーズンだ。

 だが今年はすでに携帯端末市場に2つの大きな変化が起きている。1つ目は、これまで当たり前のように実施されてきた端末の“実質0円”販売が姿を消していることだ。これは昨年実施された総務省のタスクフォースによる議論の結果を受け、総務省が4月に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を適用し、端末の過剰な割り引きに厳しい目を光らせるようになったことが大きく影響している。

 そして2つ目は、この時期にアップルが、iPhoneの新機種「iPhone SE」を投入してきたことだ。無論、iPhone SEは最先端の性能を搭載したフラッグシップモデルではない。コンパクトさ重視で、手軽に購入できるモデルだ。そのため、爆発的に販売数が伸びているわけではない。だが、現在も品薄傾向にあるなど一定の人気を獲得している。加えて、例年であればiPhoneへの関心が落ちる春から夏のタイミングに新製品が登場したことは大きな話題となり、アップルの存在感を高めた。

今年は3月末にiPhoneの新機種「iPhone SE」を発売。フラッグシップモデルではないため地味だが、品薄傾向が続くなど販売は比較的好調
今年は3月末にiPhoneの新機種「iPhone SE」を発売。フラッグシップモデルではないため地味だが、品薄傾向が続くなど販売は比較的好調
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 これら2つの変化により、今年の夏商戦は、例年とは大きく異なる環境下となる。また4月28日に開催された決算説明会で、NTTドコモの加藤薫社長が、「5月11日に新製品発表会を行う」と話していることから、夏商戦に向けた新端末の動向を多くの人が気にしていることだろう。

 そこで今回は、これまでの各社の発表から、夏商戦に登場することが予想されるスマートフォンと今後の携帯電話市場を見る上でチェックすべきポイントを確認しておきたい。