2月25日~28日まで、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催されたカメラの展示会「CP+2016」。カメラメーカー各社がCP+に合わせて発表した注目の新製品が展示されたほか、日ごろは接する機会のないメーカーの開発担当者と直接意見交換ができるとあって、各ブースは終日熱気に包まれていた。
こうしたカメラ関連メーカーのブースに混ざって、「DJI」と「Yuneec」というドローンメーカーもブースを設置し、こちらも熱心な写真ファンが製品に釘付けになっていた。昨年、ドローンの墜落事故が相次いで報道されたこともあってか、一般の人にとってドローンをややネガティブに捉える向きもあるようだ。だが、写真ファンにとっては“空飛ぶカメラ”という新しい撮影の形を提供してくれる魅力的な存在となっている。
4/3型の撮像素子で高画質、マイクロフォーサーズカメラ搭載機も展示
中国の深センに本拠を構えるDJIは、世界のドローン市場をけん引するメーカーの1つだ。もともと、ラジコンヘリのフライトコントローラー(姿勢制御装置)で急成長したメーカーであり、その技術を応用した空撮用カメラの安定装置(ジンバル)の性能では定評がある。
なかでも、2012年にリリースした「Phantom」は親しみやすいデザインや安定した飛行性能によって多くのビギナー層を獲得。Phantomや上位機の「Inspire 1」がヒットし、個人向けのドローンでは世界の6~7割のシェアを誇るという。
DJIのブースには、最新のPhantom 3シリーズや上位機のInspire 1シリーズを展示。業務用と位置付けられるオクトコプター(8ローター機)「Spreading Wings S1000+」や、6ローター機のヘキサコプター「Spreading Wings S900」といった大型の機体は、来場者の目を引いていた。
写真ファンの注目を集めていたのが、マイクロフォーサーズマウントの空撮用カメラを搭載した「Inspire 1 PRO」(実売価格は56万円前後)だ。2015年2月、DJIはマイクロフォーサーズ規格に賛同し、規格に準拠した製品の開発を進めると発表していたが、その成果の一つといえる製品だ。DJIオリジナルの空撮用カメラ「Zenmuse X5/X5R」は、最大30fpsの4K動画や、Adobe DNG RAWで1600万画素の静止画撮影ができる。ドローンのカメラとしては圧倒的に画質が高い。
レンズは、製品に付属するオリジナルレンズ「DJI MFT 15mm f/1.7 ASPH Prime Lens」(35mm判換算で30mm相当)のほか、オリンパスの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」(35mm判換算で24mm相当)やパナソニックの「LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7」(35mm判換算で30mm相当)が使える。Phantomシリーズで操縦や撮影の技術を磨いたユーザーの高い要求にも応えられるモデルとなっている。
さらに、DJIブースで多くの来場者の耳目を集めていたのが、ブース内にネットで区切られたフライトエリアだ。会場のスペースの制約もあって、ドローンが飛び回るようなイメージの飛行はできないが、DJIのフライトマスターと呼ばれるパイロットが「Phanotom 3 Professional」を使って安定した飛行を披露した。
飛行中のPhantom 3は、GPSやグロナスといった衛星からの電波を受信し、機体の位置を安定させる機能を備える。ただ、CP+の会場はパシフィコ横浜の屋内でGPSの信号が受信できない。しかしPhantom 3は、機体に搭載した超音波センサーやカメラの映像を利用して機体の高度や位置の安定を図る「ビジョンポジショニング」により、機体はとても安定していた。こうした、常に自機の位置を認識して補正する機能により、プロポ(操縦装置)から手を離しても安定したホバリング(空中静止)を見せる。ドローンの墜落事故が多発したことを受け、「ドローンを安定して操縦するのは難しいのでは」という印象を持つ人が多いが、このPhantom 3のような機体であれば、決してそんなことはないようだ。