「こんにちは!3回目のご来店ですね。ありがとうございます!濃い味がお好みのようなので、新しい期間限定メニューはいかがですか」

 東京・浜松町のオフィス街にあるラーメン店「鶏ポタ ラーメン THANK(サンク)」では、来店客を30センチメートルほどのロボットが出迎える。ロボットは食券の販売機の横の棚にちょこんと置いてある。THANKは昼時には行列が出来る人気店だ。

写真●「鶏ポタ ラーメン THANK」の店内に設置されたロボット
写真●「鶏ポタ ラーメン THANK」の店内に設置されたロボット
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 THANKでは3回の来店ごとにトッピング無料券を来店客に提供している。ロボットに「3回目ですね!」と迎えられた客は、券売機の横に設置したプリンターから出てくる無料券を受け取り、ロボットの隣に立つ店員に食券とトッピング無料券を渡す。

写真●顧客の注文情報をタブレットで確認して入力する店員
写真●顧客の注文情報をタブレットで確認して入力する店員
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 すると店員は手元にあるタブレットに、食券やトッピングの内容、麺の固さなどを入力し、厨房に注文を出す。店員が見ているタブレットの画面では来店客の情報が表示される。新人でも常連客はひと目で分かり、「いつもご来店、ありがとうございます」といった接客が可能になる。実はこの店員が来店に合わせてロボットも操作している。

写真●注文を入力するタブレットの画面。顧客が自ら登録したプロフィールや、過去の注文履歴が表示される
写真●注文を入力するタブレットの画面。顧客が自ら登録したプロフィールや、過去の注文履歴が表示される
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ロボットの額で撮った画像をクラウドのAIが解析

 THANKはロボットとAI(人工知能)による画像解析を利用することで、ポイントカードと同じ仕組みを、カードを使わずに実現していることになる。2017年1月末から実証実験を開始し、2月25日から本格導入した。

 THANKでロボットの出迎えを受けられるのは、専用のスマートフォン向けアプリ「コグニメン for 鶏ポタ」で、事前に自分の顔写真や、年齢などの簡単なプロフィールを登録している来店客だ。

写真●来店客が写真やプロフィールの登録に利用するスマートフォン向けアプリ「コグニメン for 鶏ポタ」の画面
写真●来店客が写真やプロフィールの登録に利用するスマートフォン向けアプリ「コグニメン for 鶏ポタ」の画面
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 THANKに設置しているロボットはヴイストンが開発した「Sota」。Sotaの額には、画像認識用のカメラが付いている。来店客がSotaを見ると、Sotaは顔画像を認識し、インターネット経由でクラウドサービスに画像を送信する。クラウド上で撮影された顔画像と一致する、事前登録された顔画像を探し、Sotaにプロフィールデータ返す仕組みだ。