システム開発・運用の現場で、重要な作業の一つが「文章」作成です。提案書や要件定義書、仕様書、作業指示書といった文章がなければ、システムの開発・運用プロジェクトは進みません。これらの文章が読みにくかったり、誤解を招く表現があったりすると、それが原因で、開発・運用作業の“手戻り”が発生したり、システムの設計ミスやプログラムのバグを生んでしまったりします。

 システム開発・運用における文章の善し悪しは、「正しく素早く相手に伝わるかどうか」です。仕事におけ5W1Hを簡潔に正しく伝えられれば、スムーズに仕事が進んでいくものです。ところが、そうした文章を書けるITエンジニアは意外と少ないようです。 主語と述語の関係がメチャクチャ、背景情報ばかりで何を伝えたいのか分からない文章を目の前にして、イラっとした経験のあるリーダー/マネジャーの方も多いのではないでしょうか。

 文章作成に関する講座を開くと、「部下の文章力をどう上げればよいのか」という相談が多数寄せられます。そこで今回の週末スペシャルでは、「伝わる文章の構成・査読・指導力 向上講座」の講師を務める豊田倫子氏が、文章作成が下手な部下を指導するポイントをQ&A形式で解説します。


質問●何を伝えたいのか分からない文章を書く部下の指導法

 部下が書いた報告書を読むたびに、イライラするストレスを感じます。その日の行動や考えなどが“ごちゃまぜ”になった報告書は、読みにくくて仕方ありません。日記のような文章もあります。私は「結論を先に書くように」と指導しているのですが、その意図がうまく部下に伝わっていないようです。どう指導すればよいでしょうか。ちなみに、私の部署はお客様への提案営業を担当しています。お客様へのヒアリングや提案内容について、部下は案件ごとに報告書を書いています。

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