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上山信一の「続・自治体改革の突破口」

第165回 なぜ、今、副首都が必要なのか?(上)

上山 信一=慶應義塾大学総合政策学部教授 2016/12/01 日経BPガバメントテクノロジー
出典:メールマガジン「日経BPガバメントテクノロジー・メール」2015年12月10日配信号
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

 もうすぐ大阪で府市が共同設置する「副首都推進本部会議」と「副首都推進局」(いずれも仮称)が立ち上がる見込みだ。これは大阪府市を統合して“大阪都”とするとともに、わが国の副首都と定めようという案である。詳細はこれから府市の会議で検討される見込みで実現に向けたスケジュールも定かではない。しかし私は提唱者の一人でもあり、大阪府市の特別顧問として、本件調査に参加する。今回と次回はこの案について考えてみたい。

首都の条件

 首都の定義は必ずしも明確ではない。だが、国全体の政治と行政の中心、つまり官邸、中央省庁、議会などが置かれる場所というのが一般の理解だろう。日本の場合、皇居の所在地も首都の条件になりうるだろう。

 だが以上は必要条件でしかない。首都がその機能を発揮し続けるためには内外からの使節を受け入れる国際空港、一流ホテル、レストラン、会議場、病院などのインフラが必要だ(十分条件)。そうなると必然的に企業や人口が一定程度は集積していなければならない。その結果、多くの国では国内最大の都市が首都とされる。例外はワシントンDC(米国)やかつてのボン(旧・西ドイツ)、あるいはブラジリア(ブラジル)、ネピドー(ミャンマー)など限られている。

副首都というイノベーション

 さて、副首都はどうか。国内の他都市を副首都と明確に位置付けた例はほとんどない。中国の北京に対する上海、韓国のソウルに対するプサンなど、国内第2の都市を特別市とする例はあるが、副首都とした例はあまりなさそうだ。

 だがすべての制度は時代の変遷とともに進化する。首都制度も進化すべきだ。今回、大阪で議論されている副首都の議論は、まさに21世紀にわが国が直面する課題を踏まえた戦略的な首都構想(イノベーション)なのである。

 なぜなら、

  1. ITの発達等でますます首都に中枢機能が集積し続けるのは必至である
  2. ところがわが国は地震国であり、東京に限らずどの都市も脆弱である
  3. したがって代替首都機能をどこかに置く必要がある(危機管理)
  4. 代替機能は分散配置すると不便かつ非効率である。例えば災害時の官邸、国会、主要省庁のバックアップ機能は1カ所に置くべきである

 すなわち、副首都を1カ所定めて首都機能のバックアップができる体制を整備すべきだ。

副首都の条件

 副首都としてバックアップ機能を置くべき候補地は次の条件を備えるべきだろう。

  1. 東京からある程度離れていること
    (横浜などの近隣では東京と同じ災害を免れない)
  2. 片や東京との交通の便が良いこと
    (海を越える札幌や福岡はおそらく遠すぎる)
  3. 財政負担を抑えるためには先述の首都の十分条件としての経済基盤や大都市としてのインフラ機能(国際空港、物流拠点など)をすでに備えているところが望ましい
  4. 副首都の機能を整備するためのインフラ投資が、日常からその街の経済活動と周辺地域(後背地)に経済波及効果をもたらすところが望ましい
    (普段は静かな田舎町では、バックアップのための投資の効率が悪い)

 以上の条件を備えた街はどこか。東京から遠く離れているが交通の便が良く、国際空港と物流拠点を持っていて、周辺に大規模な人口や経済活動がある場所・・・となると真っ先に候補に挙がるのが大阪である。このように全国的視点から首都代替機能を考えた場合、大阪を副首都とするのが妥当である。

(以下、次号に続く)

上山 信一(うえやま・しんいち)
慶應義塾大学総合政策学部教授
上山 信一(うえやま・しんいち) 慶應義塾大学総合政策学部教授。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)等を経て現職。国土交通省政策評価会委員(座長)、大阪府・市特別顧問、新潟市政策改革本部統括、東京都顧問および都政改革本部特別顧問も務める。専門は経営改革と公共経営。著書に『検証大阪維新改革』(ぎょうせい)、『組織がみるみる変わる改革力』(朝日新書)、『公共経営の再構築-大阪から日本を変える』(日経BP社)、『大阪維新 橋下改革が日本を変える』(角川SSC新書)、『行政の経営分析-大阪市の挑戦』(時事通信社)など多数。

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