前回に続き、小池都政の「2020改革」について解説しよう。

監理団体のあり方

 都庁には監理団体(いわゆる外郭団体)が約30ある。これらについては国の外郭団体と同様に、今までは人員や団体数の削減などの総量規制を一律に求めてきた。しかし、今回は団体ごとにその役割が見直される見込みである。

 たとえば、なかには都庁の補完組織として機能や権限を強化し、その位置付けを積極的に見直すところも出てくるだろう。監理団体については、これまではともすれば、「天下りのために補助金を出している団体ではないか」という疑念を意識した抑制基調が支配的だったが、そこから転換する。もちろん同時に情報公開を徹底し、合理化も図る。

 これからは人手不足と高齢化の時代である。都庁本体の公務員組織だけでは、もはや仕事は回らない。これらの団体への依存は避けられない。今後は本庁との癒着を防ぐガバナンスを厳しく求めたうえで、人と資金を投資して育てる方針がいいところも出てくるだろう。

 ※注)監理団体:都が25%以上を出資するなど都の行政運営を現場で支持・補完する団体

監理団体のポテンシャル

 すでに一部の監理団体のヒアリングを始めたところ、たいへん優秀で大きなポテンシャルがあることが分かった。例えば中小企業振興公社は海外に事務所を持つほどだし、歴史文化財団は美術館から博物館まで幅広い文化施設の運営能力を持つ。人材の幅も分厚く、他の自治体に比べて圧倒的に能力が高い。民間企業で同じことを請け負えるところは少ないだろう。

 ところが監理団体は、いずれも現在は短期契約でこまごまとした仕事を一手に請け負っている。もっと大きな固まりで長期的に任せた方がいいだろう。成功例が外務省とJICA(国際協力機構)の関係だ。同省が予算を取ってODA(政府開発援助)の大きな方針は出すが、実施の現場は海外だ。農業なども専門知識が必要なので、本省での政策立案には限界がある。そこで同省はプロジェクトの発掘や援助方針の立案などもJICAと協働で進めている。