(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

今回の回答者:
JALエンジニアリング 技術部 技術企画室
客室仕様開発グループ マネジャー 松尾 幸輔
日本航空 顧客マーケティング本部 商品サービス開発部
開発グループ アシスタントマネジャー 江幡 考彦

 日本航空(JAL)は2012年7月から、無線LANによるインターネット接続サービス「JAL SKY Wi-Fi(ジャル スカイ ワイファイ)」を国際線の機内で提供しています。高度約1万mの上空を時速900kmで移動する航空機内でインターネットが利用できるのは、通信衛星を使っているためです。

 機内には、乗客が使うアクセスポイント(AP)が5つあります。乗客がインターネットに接続する際は、まずAPにつなぎます。APは通信機器を経由して機体上部に設置されたアンテナと接続してあり、そのアンテナから地上約3万6000km上空にある通信衛星(静止衛星)とやり取りするのです。そして、通信衛星から地上の通信設備(地上局)へ、地上局からインターネット接続プロバイダーへと通信します。通信衛星は「Kuバンド」という周波数帯域を利用しています。

 1個の通信衛星がカバーする範囲には限りがあるので、長距離の飛行時は接続先の通信衛星を3個から4個切り替えます。機内のシステムが適切な通信衛星に接続先を切り替える命令を出すと、アンテナの向きが変わります。通信衛星が切り替わると、やり取りする地上局も変わる仕組みです。

 APやアンテナなどの設置はJALが行っていますが、機内のインターネット接続サービス自体は米パナソニックアビオニクスが手掛けています。航空機向けのインターネット接続サービスを手掛ける企業は複数あります。JALは2014年には米ゴーゴーという企業のサービスを採用し、国内線でもインターネット接続を提供する予定です。