(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

今回の回答者:
日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
インターネット推進部 政策担当/広報担当 是枝 祐
技術部 小山 祐司

 ドメイン名は、インターネット上だけではなく、一般企業のLAN内でも使われています。例えば、社内サーバーの管理やルーターの設定画面のURLといった用途です。これまで、LAN内のドメイン名は重複しない限り勝手に名付けられました。ところが、今後は勝手にドメイン名を付けると大きなトラブルの原因になりそうです。

 こうしたドメイン名は、正確には「トップレベルドメイン」(TLD)に分類されます。従来は、「.com」や「.jp」のようにほとんどが2~4文字程度の略称で、一般名称はごく少数でした。このため企業のLAN内で「.home」や「.setup」といった一般名称でTLDを勝手に名付けても重複しませんでした。

 ところが、TLDを管理する国際団体ICANN(アイキャン)が始めた「新gTLD導入プログラム」により、ドメイン名に使える文字列が大幅に増えました。今後TLDは数千~1万程度に増えるとの見方もあります。

 こうなると、勝手に名付けたLAN内のTLDとICANNが認めた公式なTLDが重複する「名前衝突」が起こる可能性が極めて高まり、様々なトラブルの要因になります。例えば、社内サーバーにアクセスするつもりでインターネット上のサーバーにアクセスしてしまい、情報漏洩を引き起こす恐れがあります。

 今後は、社内であっても勝手に名付けたTLDを使わず、公式なドメイン名による運用に切り替えていくべきでしょう。また、ドメイン名に関わるシステムの点検と早めの対策をお勧めします。