(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

今回の回答者:
日本レジストリサービス
企画部 部長 広報宣伝室 室長
宇井 隆晴

 国別ドメイン名は、正式にはccTLD(country-code Top-Level Domain)と呼ばれます。ドメイン名の一番右の「.」(ドット)以降の文字列である「トップレベルドメイン」(TLD)の一種です。日本の「.jp」や米国の「.us」など、「国」に対応付けられます。

 しかしccTLDのなかには、南極を表す「.aq」や欧州連合を表す「.eu」など、国に対応付けられていないものもあります。なぜこうしたccTLDがあるのでしょうか?

 TLDは、インターネットに関する世界的な調整を行うICANN(アイキャン)という組織のIANA(アイアナ)という部門が管理しています。しかし、ccTLDとして使われるjpやusなどの文字列はIANAが決めるのではなく、国際標準化機構(ISO)が定めた「ISO3166-1 alpha-2」という国際規格に従って割り当てると決められています。ISO3166-1 alpha-2は国や地域の名称を2文字で示すための規格(定義)で、IANAはこれをそのままccTLDの文字列に採用しているのです。

 「何をもって国とするか」、という定義には、政治的な問題がつきまといがちです。そこでIANAは、「何が国であり国でないか、その文字列が特定の国にとって適切かどうかを判断する立場にない」というポリシーのもと、自らは「国」や「地域」を定義せず、ISO3166-1 alpha-2で定義された「国」や「地域」を採用することにしたのです。

 そのため、紛争や独立などによる国名や地域名の変更に合わせてISO3166-1 alpha-2が更新されると、ccTLDも変わることになります。