米国の市場調査会社、Strategy Analyticsが2016年11月下旬に公表したリポートによると、米Appleが2016年7~9月にiPhoneを販売したことで得た営業利益は、同じ期間のスマートフォン業界全体の営業利益合計額の91%を占めた。この91%という利益シェアは過去最大。Appleの利益は依然業界断トツで、他社の利益はAppleに遠く及ばないという。

 Strategy Analyticsによると、iPhoneの7~9月における営業利益は約85億ドルだった。これに対し、スマートフォン業界全体の営業利益合計額は約94億ドル。この営業利益ランキングで上位4社に入ったApple以外のメーカーは、中国Huawei Technologies(華為技術)、中国vivo Mobile Communication(維沃移動通信)、中国OPPO Mobile Telecommunications(広東欧珀移動通信)だったが、これら各社の同期間における営業利益はいずれも約2億ドル。各社の利益シェアはそれぞれ2.4%、2.2%、2.2%にとどまった。

 こうしたAppleの独り勝ち状況について、Strategy Analyticsのディレクター、Linda Sui氏は「AppleはiPhoneの価格を最大限に高めながら、製造コストを最小限に抑えており、これは極めて優れた能力」とし、iPhoneは今後もこうしたモンスター級の利益を生み出せるだろうと予測している。

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iPhoneは3四半期連続前年割れ

 ただ、これを販売台数で見た場合、iPhoneの成長には陰りが見えだしたと指摘されている。例えば今年7~9月期におけるiPhoneの販売台数は4551万3000台となり、前年同期から5%減少した。iPhoneの四半期販売台数の伸び率は、2015年7~9月まで2桁台を維持していた。しかしiPhone 6sシリーズ発売後の同年10~12月はわずか0.4%増と微増にとどまり、その後は同16%減、同15%減と推移し、今年7~9月で3四半期連続の前年割れとなった。

 こうした動向は、市場調査会社の最新リポートにも表れている。米Gartnerが2016年11月にまとめたスマートフォンの世界市場に関する調査によると、今年7~9月期のメーカー別販売台数シェアのランキングは、韓国Samsung Electronicsが19.2%で首位を維持し、これにAppleが11.5%で次いだ。3位以降はHuaweiの8.7%、OPPOの6.7%などが続いたが、首位のSamsungと2位のAppleはいずれもシェアが前年同期から低下した。

 Gartnerによると、iPhoneの同四半期における販売台数は、世界第1位と2位の巨大市場である中国と米国で、それぞれ31%と8.5%落ち込んだ。その理由についてGartnerは、2016年9月に市場投入したiPhone 7が買い替え需要を喚起できなかったと分析している。

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