かねて中国スマートフォン市場の成長が減速しているというニュースが伝えられていたが、ここに来て様々な調査機関が公表したリポートを見ると、その傾向がますます鮮明になっている。

 例えば米国の市場調査会社Gartnerによると、今年2015年の第2四半期(4~6月)におけるスマートフォンの世界販売台数は、前年同期比13.5%増の3億3000万台にとどまった。この伸び率は、2013年以降で最も低い水準という。販売台数で3割を占める世界最大市場である中国が同4%減と、初めて前年割れしたことが要因とGartnerは分析している。

 同社のリサーチディレクターAnshul Gupta氏によると、中国では初めて端末を購入する人が減少しており、いまや同国の携帯電話市場は買い替え需要によって支えられている。「中国市場は既に飽和状態に達している」(同氏)という。

 また米IDCが8月下旬に公表したリポートによると、今年の世界におけるスマートフォンの年間出荷台数は14億3650万台となり、前年比10.4%増にとどまる見通し。同社は5月に公表していたリポートで、今年の出荷台数が前年比で11.3%増加すると報告していたが、最新リポートでこれを下方修正した。

図●2015年~2019年のスマートフォン地域別出荷台数シェア予測(出典:IDC)
図●2015年~2019年のスマートフォン地域別出荷台数シェア予測(出典:IDC)
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 その理由はやはり中国市場の成長減速だ。IDCによると、同国の今年の出荷台数伸び率はわずか1.2%にとどまる見通し。この前年比伸び率は、昨年の19.7%と比較すると著しく低い。昨年32.3%だった同国の世界市場に占める出荷台数比率は、4年後の2019年には23.1%にまで低下し、今後はインドなどの成長国が台頭するとIDCは予測している()。

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