先ごろ米Appleがインドで大規模な投資を行い、同社のインド事業をテコ入れすると発表したが、そのライバルである米Amazon.comも同国で積極的な投資を行っていると伝えられた。またAmazonは米国で販売している人工知能(AI)スピーカー端末が好調で、そのエコシステム(生態系)拡大に向けた取り組みを進めているほか、音楽ストリーミングサービスの拡充も図っている。

 今回は、ここ最近伝えられたAmazonの最新動向について見ていく。

インドへの投資は総額5000億円超

 海外のメディアや通信社は今年6月初旬、Amazonがインド事業に30億ドル(約3065億円)の投資を行うと伝えた。これより同社はインドにクラウドサービスのデータセンターを設置するほか、中南部の都市、ハイデラバードにソフトウエアのエンジニアリング・開発センターを開設する計画。

 Amazonは2年前にも同国のeコマース事業拡大を目的とした20億ドルの投資を発表しており、これで同社のインド事業への投資総額は50億ドル(約5110億円)以上になる。当時、Amazonは新たな物流拠点を五つ開設し、収納・保管能力を倍増させる計画だと伝えられていた。今回の報道によると、同社はすでにインドに21の物流センターを持ち、その収納・保管スペースは500万立方フィート(約14万立方メートル)超に上るという。

 Amazonがインドの電子商取引サイト「Amazon.in」を開設したのは2013年6月のこと。当初の取り扱い商品は印刷書籍とDVD/Blu-rayだったが、今では家電、日用品、電子書籍、Kindle端末、アパレルなど、幅広い商品を扱っている。

 一方でインドには小売業に対する外資規制がある。これについてはAppleが同国の直営店開設計画で苦戦していると伝えられているが、Amazonも同様の問題に直面している。

 そこでAmazon.inでは、地場の出店者と消費者を仲介するマーケットプレイス事業を行い、併せて商品の保管と配送などを代行する「Fulfillment by Amazon(FBA)」事業を行っている。つまり同社がインドで行っている事業は米国や日本で展開しているそれとは大きく異なる。自ら商品を仕入れ、販売するのではなく、eコマースのインフラや、倉庫・物流ネットワークなどのロジスティック業務を地場企業に提供し、そのサービス料金を得ているのだ。