このほど米国の市場調査会社、eMarketerがまとめたAR(augmented reality、拡張現実)とVR(virtual reality、仮想現実)の米国における利用実態に関するリポートによると、2017年のARの利用者数は前年から30.2%増し、4000万人となる見通し。
ARは目の前の現実の環境にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術。例えばメガネ型や透過型ヘッドマウントディスプレーなどの情報機器を使い、現実の風景にさまざまな情報を表示する。工場などの作業現場で業務の効率化が大幅に向上するとして、今後の可能性が期待されている。
一方で昨今流行しているモバイルゲームにもこのARが使われている。昨年大ヒットした「ポケモンGO」も手伝って、この技術はすでに一般消費者に身近なものになったと言われている。
ソーシャルメディアで広がる
eMarketerもそう考えているようで、今後AR利用者の伸びは、フォトメッセージングサービスのSnapchatや、SNSのFacebookなどで提供されている、写真/動画加工のエフェクトによってもたらされると見ている。
前者のSnapchatでは、自撮り写真/動画にアニメのような効果を施せる「Lenses」と呼ぶエフェクトを提供している。後者のFacebookはそのモバイルアプリで、写真や動画が24時間で消える「Stories」を提供しているが、このサービスで同様の加工エフェクトを提供している。
eMarketerの定義では、こうした写真/動画加工エフェクトによるコンテンツもARの範疇に入り、これにより今後利用者はさらに増えていくという。同社の推計によると、1カ月に1度以上何らかのARコンテンツを利用する米国人は、2018年には5000万人弱となる。これが2019年には5500万人弱となり、同国インターネット利用者のほぼ5人に1人がARを利用すると予測している。