先ごろ、米AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)はインドを訪れ、同国のNarendra Modi首相と会談した。インド首相官邸のWebサイトによると、この会談は和やかなムードで行われ、円満に終了したようだ。

 また米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)などの報道によると、AppleのCEOとして初の公式訪問となったCook氏のインド滞在中の行動は、地元メディアが逐一取り上げ、Appleのブランド認知度向上に一定の効果をもたらしたという。

 だが、Appleの同国における事業展開については、同社と政府との間で思惑が異なっており、今回の訪印は、Appleが同国市場で直面している困難な状況をあらためて浮き彫りにしたともいわれている。

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シェア拡大のカギを握る再生品販売事業

 その一つが、「iPhone」の再生品(Apple認定の整備済製品)の輸入・販売事業だ。前述のWall Street Journalの記事によると、インドでは購入されるスマートフォンの7割が150ドル未満の低価格端末。だが、iPhoneの販売価格は500ドル超と高額で、同国消費者の平均年収のほぼ3分の1に上っている。

 このためかiPhoneの同国における市場シェアはわずか2.7%にとどまっている。これに加え、インドで販売が伸びているiPhoneは、その多くが価格が下がった旧モデルだとも指摘されている。

 そうした中、Appleは同国でiPhoneの再生品を輸入・販売したい考えだが、英Reutersなどの報道によると、その計画は今年5月初旬に、インド政府が認可を見送った。