先ごろ、米Appleがインドで「iPhone 6s」シリーズの価格を最大16%引き下げたと伝えられた。Appleが同国で6sシリーズを発売したのは昨年の10月16日で、それからまだ数カ月しかたっていない。同社がこうして主力製品の現行モデルを短期間で値下げするのは初めてのことだ。

インドで「6s」と「5s」相次ぎ値下げ

 Economic Timesなどのインド地元紙の報道によると、昨年10月16日の販売開始時、「iPhone 6s」16Gバイトモデルのインドにおける価格は6万2000インドルピー(約11万4200円)だった。だがEconomic Timesが大手小売り4社の価格情報を調べたところ、12月下旬時点のその価格は5万2000~5万5000インドルピー(9万5100~10万600円)で、11%~16%下がった。また「6s Plus」も同時に引き下げられており、6s/6s Plusはともに16Gバイト、64Gバイト、128Gバイトの全モデルで価格が下がった。

 これに先立ち、Appleは2世代前のモデル「iPhone 5s」のインドにおける価格を大幅に引き下げ、昨年9月時点のほぼ半額にしたと伝えられていたが、その背景には、12億以上の人口を抱える同国でスマートフォン市場の競争が激化していることがあるといわれている。

 例えば米IDCによると、インドはアジア太平洋地域で最もスマートフォン市場が成長している国。同国の一昨年7~9月期の実績では、出荷台数が1年前に比べ80%以上増え、伸び率が2四半期連続で80%を超えた。

 また米Strategy Analyticsによると、インドにおけるスマートフォンの年間販売台数は2017年に1億7400万台となり、同国は米国を抜き中国に次ぐ世界2位の市場になると見られている。中国のスマートフォン普及率はすでに95%に達しているが、インドはまだ30%程度にとどまっている。このことから、同国市場は今後大きな成長が見込めるといわれている。

 一方でAppleのインドにおけるスマートフォンのシェアは、わずか2%にとどまっていると英Reutersは指摘している。またインドでは、これまでiPhone 6sシリーズの価格が前モデルの6シリーズよりも大幅に高く、これが、同国でiPhoneの買い替え需要が伸びなかった理由だという。