メディアを取り巻く環境が大きく変わりつつある。スマートデバイスやソーシャルメディアの急速な普及が、インターネット上における映像コンテンツ消費を加速させている。こうした動きは、日々伝えられる様々なニュースでも目にすることが増えてきた。地上波の視聴率低迷、総務省のメディア接触調査などを見ても、「テレビ離れ」を疑う余地はない。

 では、この先日本はどのようなメディア環境へと変遷していくのか。市場こそ違えど、映像コンテンツ消費のデジタルシフトで先行する米国の動きは、日本市場の先行きを占う一助になるはずだ。米国では映像コンテンツをストリーミング視聴する動画配信サービスが視聴者の支持を広く集めており、4大ネットワーク・ケーブルテレビ事業者・衛星放送事業者といった従来メディアの支配構造が揺らぎ始めている。「Netflix」に代表されるOTT(Over-The-Top)事業者の勢いは、従来メディアの経営戦略の根幹を揺さぶっている。

 この特集では4回に渡って、米国映像コンテンツ市場の動向を解説しながら、日本のデジタルメディアの近未来を占ってみたい。第1回は、デロイトが毎年グローバルで実施している「デジタルメディア利用実態グローバル調査2014」をベースに、日米視聴者の視聴環境及び視聴スタイルの違いを紹介する。

テレビのオンライン化に期待感が低い日本

 視聴者のテレビに対する位置付けについて、日米でどのような違いがあるだろうか。

図1●日本は映像コンテンツを視聴するデバイスで依然としてテレビが87%を占める
図1●日本は映像コンテンツを視聴するデバイスで依然としてテレビが87%を占める
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 映像コンテンツを視聴するデバイスは日米ともにテレビが首位であり、これは他国でも同様の傾向にあるが、他国と比べると日本の割合が高いことが分かる(図1)。米国はパソコンやスマートフォン、タブレットなどほかデバイスの割合が一定程度あり、映像を観る=テレビ画面、という従来の意識に変化が起きている。