ここ数年は、米国ラスベガスで行われる「Consumer Electronics Show」(CES)およびその周辺イベントへの参加が年初の恒例行事となっている。毎年1月初旬に行われるということで、今後1年のトレンドを見るには格好の展示会なのだが、今年は例年以上に刺激的な内容だった。

 改めて振り返ると、ベンチャー企業の存在感がかつてないほど増し、「イノベーションの大衆化」が、ますます加速しているという思いを強くした。誰もが「昨日までは存在しなかった、価値のある何か(=イノベーション)」を創り出すことができるようになっているのだ。

 日経コンピュータの700号記念特集(2008年)の取材でお会いした、ベストセラー「Release 2.0」(邦題は「未来地球からのメール」)の著者として有名なエスター・ダイソン氏は、近未来の姿として「個人がビジネスの主役になる」ことを予言していたが、まさにそれが実現された時代の到来である。

個人の創作意欲は無限大

 写真1は、CESの開幕前に行われたAT&T主催のハッカソンの様子だ。ラスベガスのホテル内のレストラン数カ所を貸し切り、数百人の開発者がわずか2日で「新しい何か」を創り出すイベントである。

 年を追って参加者だけでなくメーカーなどの協賛者も急増し、今年のテーマである「IoT」(Internet of Things)に合わせて、開発ボードやセンサー、API(Application Programming Interface)などを無償提供した。協賛社が構えたブースに開発者が列をなし、提供品の機能説明を受けるところから開発はスタートする。

写真1●2015年1月3日と4日に行われた、AT&T主催のハッカソン
写真1●2015年1月3日と4日に行われた、AT&T主催のハッカソン
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 もちろん、2日間では商品レベルの開発は難しいが、メーカーのサポートを得ながら実装経験を積むことで、その後のサービス開発が促進されることは間違いない。