勝手ながら2015年、「記者30周年記念活動」に取り組むことにした。活動のお題を「ソフトウエア、それが問題だ ~ Software matters」とし、何らかの文章を書く際には必ずソフトウエアに関する内容にする。ITproで今年最初に公開した一文『今年こそ、社長が喜ぶシステム開発を』は昨年執筆したものだがソフトウエアに触れたつもりである。

 筆者が所属している日経BPイノベーションICT研究所から『研究員が展望する2015年』という特集に、2015年の重要事あるいは注目すべき点を書くように指示されたので以下の一文を書いた。結論は題名の通りで30周年記念活動のお題と同一である。

 本年3月末で記者の仕事に就いてから丸30年になると昨年末に気付き、普段やらない活動をしてみようと思い立った。30周年を記念するなら昨年すべきであったし、記者としては1991年から1993年あたりが最盛期でその前後を入れても15年程度、30年間続けているとは言いにくい。そもそも記念活動を自分で言い出すのはいかがなものかと思ったりしたが、とにかく2015年はソフトウエアについて考え、書いていく。

 なぜソフトウエアなのか。重要事あるいは注目すべき点どころか当たり前であり少しも新しくない。こう思われた読者が大半であろう。当然の疑問だがここ数年考えてきた事柄を昨年末から年初にかけて整理してみてソフトウエアという言葉を強調するのが良いと判断した。

狭義のソフトウエアと広義のソフトウエア

 ITpro読者の方々にソフトウエアの定義を述べる必要は本来ないが、あえて書いてみる。ソフトウエアとは、コンピュータハードウエアに指示を与えるコンピュータプログラムを指す。コンピュータプログラムに関する仕様書や操作手順書といった文書を含めることが多い。プログラムを記述する前提となる事務規定や業務手順、事業の仕組みはコンピュータ側というより事業側の情報だが、これらをソフトウエアと呼ぶ場合もある。

 以上がコンピュータソフトウエアの説明だが、コンピュータ以外のハードウエアに対してもソフトウエアという言葉は使われる。例えば産業設備、自動車、映像機器といったハードウエアに対し、設備を運用する規則や技術、運用体制、運用要員の教育、自動車の運転方法や運転に関する法律、運転手の心掛け、映像の記録情報とその記録媒体などをソフトウエアとみなすことがある。