2015年、クラウドコンピューティングは新たなフェーズを迎える。クラウドの採用を最優先で検討する「クラウドファースト」が日本でも完全に定着するはずだ。野村総合研究所の桑津浩太郎ICT・メディア産業コンサルティング部長の言葉を借りると、「もはやクラウドは、使うべきか否かではなく『どこまで使うか』『どこから使うべきではないか』を検討する段階にある」。

外資系が相次ぎ国内DCを開設

 クラウドファーストの定着を後押しするのが、外資系ベンダーによる国内データセンターの開設ラッシュだ。「クラウドを使わない理由」がまた一つ減る(関連記事:米系クラウド大手が日本で相次ぎデータセンター開業)。

 「セキュリティや規制・リスク管理を考えると、重要なデータは国外に置けない」。これまで少なくない数の日本企業が、こうした理由で外資系ベンダーが提供するクラウドの利用をためらってきた。特に「金融や医療、地方自治体などでは、そうした傾向が強かった」(日本IBMの小池裕幸執行役員)。2015年は、もうその手は使えない。

 国内データセンターの開設で先行した米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を追って、日本マイクロソフトは2014年2月、関東と関西にそれぞれデータセンターを開設した。「日本市場にコミットメントする証し」(樋口泰行社長)という。まずは「Microsoft Azure」のサービス提供から始め、12月16日には「Office 365」を追加した。

 日本IBMも12月22日「SoftLayer 東京データセンター」を開設し、「SoftLayer」の提供を始めた。最大でサーバー1万5000台分のスペースを確保してあるという。同時に日本語によるヘルプデスクサービスを始めるなどして、日本企業のクラウド利用を促す。

 このほかヴイエムウェアもソフトバンクグループとの共同出資会社を通じて2014年11月から国内データセンターで「vCloud Air」を提供している。セールスフォース・ドットコムも2015年以降、国内に2カ所目のデータセンターを開設する意向を表明している。

 2015年は、これまでパブリッククラウドに消極的だった企業が一気に動き出すかもしれない。