2015年は日本の通信業界にとって大きな節目の年となる。通信の自由化から30年を迎えるからだ。

 では日本における通信の自由化とはどのようなものだったのか。今を遡ること30年前の1985年、日本電信電話公社(電電公社)が民営化され、日本電信電話株式会社へと衣替えした。通信サービス市場に自由競争の原理が導入された。同年、現在のKDDIにつながる第二電電(DDI)が誕生。ソフトバンクテレコムの母体となった日本テレコムも設立はほほ同時期(1984年)だ。

 それから30年がたった今。NTT、KDDI、ソフトバンクは日本を代表する巨大通信事業者(メガキャリア)として君臨している。その存在感の大きさは通信業界にとどまらない。2014年はいずれも国内営業利益でトップ10にランクインしており、押しも押されもせぬ超優良企業である。

「会社の寿命は30年」をくつがえせるか

 ただ、立派な数字とは裏腹に、通信業界ではいくつもの問題が深刻化しつつある。「モバイル市場の成長鈍化」「横並びのサービス競争」「土管化する通信サービス」といったものだ。通信事業者のビジネスモデルが、この30年で起こったインターネットやクラウドといったイノベーションについていけず、そのギャップが澱となり、今まさに噴出してきた格好だ。

 通信事業者の伝統的なビジネスモデルは、「加入者」×「ARPU(契約当たり月間平均収入)」の拡大にまい進するというもの。このため通信事業者は、自らが主導する形で通信サービスと端末を開発し、市場を広げ、成長を続けてきた。

 それが今、通信事業者の存在感は弱まりつつある。

 新たな成長市場の創造をもたらしているのは「クラウド」と「モバイル」である。今やそのどちらの主導権も通信事業者にはない。サービスの主役はOTT(Over The Top)と呼ばれるクラウドサービス事業者であり、端末はiPhone/iPadに代表されるスマートデバイスが牽引している。

 そして30年といえば、かつて日経ビジネスはこう提唱した。「会社の寿命は30年」。一つの企業が繁栄を謳歌できる期間は平均わずか30年というものだ(日経ビジネスオンラインの関連記事:【会社の寿命】企業の繁栄は、たかだか30年)。はたして通信事業者はこの通説をくつがえして、これからも成長し続けていけるのか。

 2015年、三十路を迎えるメガキャリアは大いなる岐路に立たされている。通信業界において変革が起こるとすれば2015年をおいて他にはない。