サムスンは2014年8月、3G通信に対応したスマートウォッチとして「Gear S」を発表した。興味深いのは、2014年6月にグーグルが発表した「Android Wear」対応製品とは別に、独自OSの製品を投入したという点だ(写真1)。

写真1●Android Wearではない独自OSを搭載したサムスンの「Gear S」
写真1●Android Wearではない独自OSを搭載したサムスンの「Gear S」
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 特集第3回では、国内でも2014年10月末に発売されたGear Sの特徴を解説しながら、1カ月ほど利用した経験を基にレビューする。

AndroidとTizenの2本立てとなった「Gear」シリーズ

 サムスンのスマートウォッチ製品は初代の「GALAXY Gear」がAndroidベースのOSを採用した後、「GALAXY」ブランドを外し、TizenベースのOSを搭載した「Gear 2」「Gear Fit」などを後継モデルとして発表。2014年6月にはAndroid Wearを採用した「Gear Live」を発表した。

 この後、Android Wearによる標準化路線に乗るかと思われたが、再びTizenベースの「Gear S」を発表し、独自の製品ラインも維持する構えとなった。GALAXY Sシリーズのように、サムスン製品の中でも「S」が付与されたシリーズはフラグシップとして知られる。その最上位ラインに独自OSを採用したことからも、サムスンのウエアラブルにかける意気込みが感じられる。

 Gear Sの最大の特徴は、本体にSIMカードを入れることで、3Gによるデータ通信や音声通話に対応するという点だ。スマートフォンとの連携だけでなく、Gear S単体でもかなりの機能を使える。

 なお日本ではGear SをNTTドコモとKDDIが発売しているが、SIMカードを入れて3G通信ができるのはドコモ版のみ。KDDI版はWi-Fiモデルとなっているので注意したい。また、連携できるスマートフォンはサムスンのGALAXYシリーズとなっている。

Gear S本体はやや大ぶり、汗をかきやすい点は気になる

 SIMカードを搭載できるスマートウォッチはGear Sが初めてではないが、これまでのセルラー通信機能搭載モデルは、腕時計としては許容できないほど大きくて分厚いものばかりだった。