みなさん、はじめまして。プロセスデザインエージェントの芝本 秀徳です。本特集では、ITエンジニアがこれからのIT分野で活躍するための常識として知っておくべき「ビジネス知識」について解説します。

 筆者はこれまで、現場のエンジニアとして、またプロジェクトマネジャーとして、そしてコンサルタントとして、長年システム構築やソフトウエア開発プロジェクトに関わり、ITの現場を見てきました。そんな筆者の目から見ると、多くのITエンジニアは「ビジネス知識」について知らないまま過ごしているせいで、技術という武器を生かしきれていないように見えます。これは非常にもったいないことだといえるでしょう。

 経営層のほとんどは、経営や自身の専門分野に関するプロフェッショナルではあっても、自社の情報システムやプロジェクトマネジメントについては知識や経験を持っていません。このため、エンジニアやプロマネ、ITコンサルタント、情報システム部門のスタッフなど、ITの現場にいる人たちはビジネスとシステムをつなぐ「橋渡し役」を期待されています(図1)。

図1●ITの現場でシステムに関わる人たちは経営者とシステムをつなぐ「橋渡し役」を期待されています
図1●ITの現場でシステムに関わる人たちは経営者とシステムをつなぐ「橋渡し役」を期待されています
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 ひと昔前までなら、現場にいるエンジニアやスタッフは自分たちが取り組んでいるシステムについて、技術を中心に考えていればよかったかもしれません。しかし、それでは今の時代、ITエンジニアとして価値を高められません。

 IT投資には厳しいコスト制約が突き付けられ、「具体的にどう会社の成長につながるのか」といったといった説明が当たり前のように求められます。同時に、経営者としては“ビジネスの視点”で「自社のITシステムのあるべき姿」や「今後のIT投資をどのように行うべきなのか」を提案してほしいと思っているのです。