2014年は、ITの世界に同時多発的な変化が起こっていると感じさせた1年だった。スマートフォンシフト、ユーザーエクスペリエンス、IT業界、最先端技術まで領域は幅広い。
1位になった「【記者の眼】iPhone 6 Plusに乗り換えるも、まさかの落とし穴にハマる」は、PCではなくスマホ、もっと言えば日本ではiPhoneにハードの中心が移ったことを示すものだ。5位に「【アップル・ホットトピックス】SIMフリー版iPhone 6の衝撃、携帯大手3社よりも割安なその実態とは」、7位に「【週末スペシャル】「々」を一発入力するには？ iPhone文字入力、10つの隠し機能」もランクインしている。
2位の「【記者の眼】「Excel方眼紙」の何が悪い？」は、PCを使った業務が企業に深く入り込んでいるのを再確認させた。日本独自に進化した「Excel方眼紙」という使い方の是非を問う記事には、ソーシャルメディアを含め大きな反響があった。ユーザーインタフェースやユーザーエクスペリエンスに対する、草の根の声を示したものと見るべきなのかもしれない。
3位には日本のIT業界の現実に迫る記事がランクインする。「【変わる派遣法！IT業界に迫る地殻変動】［1］特定労働者派遣廃止の衝撃」だ。2014年の衆議院解散の影響もあり、派遣法の改正は2015年以降に延びたが、発注者と受注者、元請けと下請けの関係に激震が走る可能性がある。
発注者と受注者、元請けと下請けの関係について言えば、業界構造自体にまで目を向けた問題提起型の記事も上位に入った。9位の「【記者の眼】IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒」と12位の「【「2015年問題」がIT業界に迫る覚悟】現行SIモデルは限界点に、業界に迫る最悪のシナリオ」がそうだ。後者が指摘する2015問題による人手不足は確実に顕在化している。
4位の「【記者の眼】バチカンとNTTデータ、想像を絶する交渉の舞台裏」は別の意味でIT業界が直面する事実を示す。グローバル化だ。バチカン図書館の3000に及ぶ古文書をデジタル化するというプロジェクトの舞台裏からは、IT会社が世界を相手にする難しさが伝わってくる。
インターネットの普及によって、ITの世界は激変したが、ほかにも今からのITを大きく変える可能性がある技術はいくつも存在する。6位の「【驚愕の量子コンピュータ】突然商用化した夢のマシン」で取り上げた量子コンピュータや、15位の「【「機械学習」革命 ～的中したビル・ゲイツの予言】嘆く天才プログラマー」のタイトルにもなっている機械学習はその好例だ。
最後にITproらしい記事として10位の「【記者の眼】大規模障害から1年余り、あの企業が『その後』を語った」を挙げたい。システムが止まった時の大変さ、無事に使い続けることの難しさが伝わってくる。
