「ソーシャル/CMO」分野の1位は、2014年5月に公開した事故などで鉄道路線が止まったとき、ソーシャルで得られる情報が次の行動を決める判断材料になることを解説した記事だった。Twitterでトラブルに直面した利用者が現場から発信するつぶやきが、鉄道会社が発表する情報よりも具体性があり、個人が次の行動を決める際に有益な情報ベースとして定着しているという実態を描いた記事だ。個人に広がったソーシャルが、かゆいところに手が届く“集合知”として機能し始めた一端と言えるかもしれない。
2位、4位、6位、7位、10位と、上位10本のうち5本を占めたのは、連載シリーズ「『ソーシャル新人類』の不夜城」の記事だった。教員の経験を持つITジャーナリストの高橋暁子氏が、取材などで子供や保護者、教員たちから聞いたリアルなソーシャルメディア事情を描き出した記事だった。本シリーズはいったん年末で終了とするが、中学生高校生を中心とする10代がSNSを使うことで直面する様々な課題については、今後別の機会で取り上げたい。
7位は、1万2000近いフォローを受けていたのに突如Twitterをやめた、クロサカタツヤ氏のコラム。クロサカ氏は「かつてはTwitter上での交流が、楽しく有意義と感じる時期もあった。しかし最近はその手間やコストを負担に感じていたのだ」という。その理由をクロサカ氏はTwitterの「大衆化」というキーワードで読み解く。
スマートフォンが急速に拡大し、SNSがその上で動く有力なアプリとして浸透したことで、TwitterやLINE、FacebookといったSNSが大衆化。クロサカ氏の言葉を引用すると「ノイズやあらがいの絶対量が増加し(中略)それらが大きく増幅されるようにもなった」。既にソーシャルメディアは、数年間に日本に登場したときのものとは大きく変わっている。そうした動きが、いくつかの記事の一端に表れているようだ。ぜひ個別の記事を読んで、現在の姿を理解してほしい。
なお、この分野で唯一ニュースとして9位にランキングに入ったのが、米国人気女優やモデルなど著名人のプライベート画像が多数流出したことを報じた記事。ソーシャルメディアで交わされる情報はプライバシー色を強め、ほかの人には見られたくないものが増えている。本記事で描いた事件は、個人にデータの管理についても十分な配慮をすべきという他山の石となっている。