本特集の冒頭で述べた通り、通話は電話機を起源とするスマートフォン特有の機能である。ここには、どのようなリスクがあり、ユーザーはどのような対策を求められるのだろうか。

盗聴に注意が必要

 電話機能への脅威としては、盗聴や不正発信などがある(図1)。スマートフォンを使った盗聴は、2種類に分類できる。その一つは、通話内容が第三者に盗聴される問題だ。スマートフォンでも、アプリからのものではない音声通話を通信路で盗聴するには、従来の固定電話や携帯電話を盗聴するための技術や方法が基本となる。

●電話特有の機能を使った情報流出を警戒する
●電話特有の機能を使った情報流出を警戒する
図1 スマートフォンでは、パソコンにはない電話関連の機能のセキュリティ対策が必要になる
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 もう一つは、不正アプリによってスマートフォンが盗聴機器として悪用されるという問題だ。不正アプリを使って、スマートフォンのカメラやマイクを遠隔から操作すれば盗聴や盗撮は可能である。カメラを遠隔操作する技術は、盗難・紛失対策にも使われている。技術は使いようでいかようにもなる典型だろう。

 また、個人の端末ではあまり事例は発生していないが、固定電話や携帯電話にかけられる企業内の交換機などが、不正に使われて料金の高い海外宛てに発信させられるようなこともある。同様に、欧州などでは課金制のSMSサービスを勝手に利用する不正アプリも存在する。不正SMSは、ボットの通信やデータを外部に送る場合にも利用される。

 対策としては、不正アプリはセキュリティ対策ソフトで検出・駆除できる。ただし盗聴に使われるアプリは、友人や恋人の監視目的などで、人の手でインストールされることもある。インストールした覚えのないアプリにも注意が必要である。セキュリティ対策ソフトによっては、ユーザーによる操作以外の音声発信やSMS送信について警告を出すものもある。