スマートフォンでは、無線LANで通信したり、LTEなどのモバイル回線で通信したりする。IPというプロトコルは、こうした無線の回線と連携して、通信を実現している。

 IPと無線LANを連携させるには、IPで使う住所であるIPアドレスと、無線LAN通信で使う「MACアドレス」を連携させる必要がある。

 これを日経NETWORKが試作したアプリ「NNWCommand(現在は配布終了)」で操作させたarpコマンドを通じて見てみよう(図5-1)。

図5-1●MACアドレスとIPアドレスの関係を知るarp
図5-1●MACアドレスとIPアドレスの関係を知るarp
スマホが無線LANでネットワークに接続しているときは、無線LANアダプターにMACアドレスが割り当てられている。このため、MACアドレスとIPアドレスの対応付けが必要になる(左)。しかしLTEで接続している場合は、イーサネットとは異なる仕組みなので、MACアドレスの登録は不要だ(右)。
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 arpコマンドはIPアドレスとイーサネットで利用するアドレスであるMACアドレスの連携を知るためのツールだ。無線LANはイーサネットを無線化した技術であり、基本的な仕組みはイーサネットと同じである。無線LANで接続している状態でarpコマンドを実行するとしても、IPアドレスとそれに対応するMACアドレスが表示される(同左)。

 つまり、無線LAN環境ではMACアドレスがあって、イーサネット接続と同様にarpコマンドが有効になっている。

 一方、LTEで接続しているときは、arpコマンドを実行しても何も表示されない(同右)。LTE環境では、MACアドレスの概念が存在しないため、何も表示されないわけだ。