この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。

 様々なステークホルダーが一堂に会する会議を、いかにスムーズに回すか。プロジェクト運営ではこのスキルが欠かせない。特に「暗闇」の状態では、意見がまとまらないだけでなく、勝手な言動や行動を取る人が出てくるのは珍しくない。

 そんな状況でも会議を回すための三つのセオリーを紹介しよう。

セオリー1
議事録は手を抜かずに作成、過度な期待は禁物

 若手コンサルタントのA氏は、推測や思い込みでは動かないタイプである。エビデンス(証跡)として何が必要か、エビデンスを取得するためにどのようなアクションを取る必要があるのか、といった判断の根拠を明確にし、第三者に説明できる形にして初めて行動に移す。顧客に何かを説明する際も、その前に必ず裏付けとなる事実とロジックを明らかにする。

 当然、常にエビデンスが得られるわけではなく、時には迷うこともある。その際に、A氏は自分一人で判断を下さず、必ず関係者の言質を取る。関係者は上司だったり顧客だったりする。相手が顧客の場合は議事録を取り、承認印ももらう。

 議事録が大切なのは言うまでもない。手を抜かずに作成する必要がある。だからといって、議事録に対して過度な期待を抱くのは禁物だ(図1)。これがセオリーの一つめとなる。

図1●議事録は手を抜かずに作成
図1●議事録は手を抜かずに作成
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